

情報システムをベースにしたビジネスプロセスに移行するということは、単なる業務プロセスの移行にとどまらず、業務プロセスそのものを変えてしまうということになります。不正摘発のためだけだと思えば余分な手間やコストがかかるように感じますが、きちんと見直せば、コンプライアンスと収益力アップを同時に追求できる。皆さん、同じ点を強調されているように、これが非常に大事なポイントです。
皆さんご記憶にあるかと思いますが、ある銀行の一人の担当者が、11年間にわたって850億円も隠匿し続けた事件がありました。職の分担が全然できておらず、決済をするのも取引をするのも報告をするのも確認するのも、全部その人がやっていました。そのため、最初の領収書を偽造するだけで、わが国の有名な監査法人、大蔵省、内部監査部門、ニューヨーク州の銀行当局、まさに銀行監査のプロの4つのチームを11年間もだまし続けることできたわけです。
これは今の時代ならば「残高証明書をデータで送ってください、タイムスタンプと電子証明を付けてください」で防げます。全部を自動的にデータで吸い取りますから、相手方の電子署名、責任者の電子署名、タイムスタンプのついたものがそのまま証拠として残りますし、検証もできます。領収書、請求書に電子的にタイムスタンプを付けて出す時代は、もう目の前に迫っていると思います。
ただ、今回の金融証券取引法はアメリカのSOX法とは異なり、投資サービス法であり、投資家に対して保護やサービスをしなければいけない、いわば消費者保護法の投資者版みたいなものなのです。したがって、この次には企業体系改革法が出てくると思います。となれば、また事故が起きるでしょう。そこで、先日、改正された電子帳簿保存法がもう一回改正されて義務化するだろうと予想しています。

図6 内部統制は経営者がリーダーシップをとり戦略的に展開する必要がある
今、我々を巡る状況が大きく変わってきています。例えばISMS一つとってみても、経営者の情報管理がものすごく強調されてきている。そういう意味では今までの、単に書面があってそれを管理すればいいというレベルから、経営というところまできちっとやらなければいけないことになってきた。経営者がゴルフをやって酒を飲んで仕事を取ってくる時代から、正確な経営を行い、投資家にきちんと自分のパフォーマンスを見せられる、見せたことによって多くの金を引っ張って来るというような、説明責任をきちんと尽くせる人がこれからリーダーシップをとっていく時代になったのだと思います。そして、そのための各種の証拠はITによって的確に確保することになる。このように時代が大きく変わりつつあることを、ぜひ、認識していただきたいと思います(図6参照)。
実態を正しく理解して、コツコツと目標に向かって動くということが大事だというお話を聞いて、ちょっとホッとしました。これからも内部統制に対して会社としてしっかりと前向きに正面から向き合っていきたいと思います。ありがとうございました。
私自身は、内部統制もしくはSOX法に限らず、いろんな意味でいかにITを活用していくのか、いかに継続的な改善を目指していくのかという方向で、これからもずっと努力していきたいと思っています。
「身の丈にあった内部統制を目指しましょう」というのが最大のメッセージだと思います。今日は、3人の皆さんから、非常に貴重なヒントをいただきました。どうもありがとうございました。

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