
- 「経営者は利益を上げて会社をどれだけ成長させられるかで評価が決まる」「経営者は戦略の立案、経営の効率化、社員の志気向上に専念し会社を引っ張っていくもの」これらの考え方は決して間違っているわけではありません。
しかし、「だから、それ以外のことは経営者には関係ない」となると危険です。今や業績が素晴らしいだけでは企業は評価されません。一足先にSOX法が施行された米国では、決算が適正でも、内部統制は不適正とされた企業が数多く見られます。こうした企業は、いくら業績がよかろうとブランド価値や取引先としての信頼性に少なからぬ痛手を被るでしょう。
日本版SOX法が施行されると、社内で作成した内部統制報告書を外部監査人が監査し、有効性を判断します。内部監査報告書では、経営者が「記載内容が適正である」という宣誓をしなくてはならないわけで、不実があれば個人として罰を受ける可能性もあります。
また企業としては上場廃止や業務停止といった重大な事態になる可能性も否定できません。米国SOX法では経営幹部が最長20年の禁固刑に罰せられることもあり、「内部統制の重責に耐えられない」としてCEOが辞任したり、CEOのなり手が減ったりしているということです。自分の知らないところで行われた不正についてまで責任を負わなければならないこともあるわけですから無理もありません。 
- SOX法対策はネガティブに捉えるのではなく、まずトップが意識を変えて、内部統制と業務プロセス改革を強力にリードしていくことが肝要です。ビジネスプロセスの可視化は単に絵を描いて終わりにできる話ではありません。文書化した後も、そのプロセスを実行し、評価し、必要があれば改善するというPDCAサイクルが続いていきます。現場からは「仕事がやりにくくなる」「成績につながらないことをやらされる」などと不平が上がり、内部統制を進めるプロジェクトチームとしては大きな抵抗を受けることになるでしょう。ですから、SOX法対策を成功させるには、経営者がビジョンを示し、トップダウンで社内をまとめていくのが不可欠です。最終的に、経営者自身が宣誓する前に、部門長など部門ごとのトップに宣誓を求めるなど、全社的な内部統制の徹底も必要になってくるでしょう。
SOX法対策には大きな手間とコストがかかります。ですから、かけたコストが経営強化に少しでも役立つようにしむけていくべきです。販売、営業、購買、資産管理など経営の柱となる業務の流れ、仕事の進め方を洗い出して、分析するいい機会です。今まで見えていなかった不効率や、無駄、ボトルネックなどが見えてくるはずです。製造業では生産管理などの経験からそういったプロセスの可視化や改善に馴染みがあるのですが、それ以外の業種でもそういったアプローチは、会社全体の経営強化につながるはずです。














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