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サイト移行のお知らせ

NECソフトは、自社のソリューション紹介などを通してIT活用情報をご紹介する本サイト「IT’s VALWAY」をリニューアルし、 http://itsvalway.necsoft.com/へ移行しました。
ご利用の皆様には大変ご迷惑おかけ致しますが、ブックマークの変更をお願い申し上げます。このページは、2008年6月末をもって閉鎖させていただきます。
引き続き、新しい「IT’s VALWAY」 http://itsvalway.necsoft.com/をよろしくお願いいたします。

特集

Special TALK - 対談日本のモノづくりを元気にするIT活用戦略

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景気が徐々に良くなってきたとはいえ、日本の製造業の抱える問題は多い。今までのように、皆が同じモノを造っていたのではコスト競争に巻き込まれ体力を消耗するばかりだ。変化への対応力をつけ、いかに差別化するか。そのためには、ITを活用しライフスタイルまでを考慮したモノづくりが必要になる。そこで、モバイル・インターネットキャピタル株式会社 西岡郁夫社長(元インテル日本法人会長)とNECソフトの製造ソリューション事業部 岡本康成事業部長とで、製造業がもっと元気になるためのIT活用法を語りあった。

モノづくりからコトづくりへ

岡本:

ようやく日本の製造業の景気は上向いてきましたが、まだまだ厳しいのが現状です。さらに、現在では「いいものを早く安く造る」だけでは通用しません。プラスαが必要です。他と差別化できるオンリーワンがあれば一番いいのですが、そこまでいかなくとも、何か儲かる仕組みを模索しています。

西岡:

同じものを作っていれば値段だけの勝負になってしまう。それは皆わかっているけれど、変えられないのが実際でしょう。例えば、オンリーワン製品として大成功のiPodは、値段や寿命で勝負していません。値段は高くても持って嬉しい商品、人に自慢できる楽しい商品がコンセプトです。しかも、iPodに好きな音楽を3,000曲も入れたら、自動車の中もアパートでもiPodで十分間に合ってしまう。カーオーディオやオーディオシステムはアンプとスピーカーの役割しか果していないのです。つまり、iPodは寿命が長くて品質がいいというモノではなく、カッコ良く生きるためのライフスタイルというコトを売っているのです。

岡本:

おっしゃる通りだと思います。従来のモノづくりにこだわりがあり、そこまで拡げて見ることができないのです。生産性向上には一所懸命取り組んでいるのですが、人件費が10倍くらい違う国との勝負ではコスト的にはなかなか勝てません。何か別の面で勝負できることが必要です。今、製造業の中では、やはり求心力をもっているのは生産関連の部隊ですから、これにプラスαするには、その部隊が関連の業務を統合し、より広い視野で(製品の企画や販売まで)見ていけるような活動をする必要があると思います。ただ、依然として日本の製造業の強さはモノづくりにあるわけで、問題はニーズ変化への対応力、急なオーダーに対してどれだけ対応できるかにあると考えています。

西岡:

モノづくりの強さを発揮するためには、強い商品開発能力と利益を取って売るビジネス・モデルの構築が必要ですね。例えば、経済産業省のIT百選最優秀賞を2度も受賞した東海バネ工業株式会社という中小企業が大阪にあります。製造業の鏡のような企業です。普通、コイルバネやサラバネは大量生産・薄利多売の典型でまったく利益が出ないのが業界の常識です。ところが、東海バネは大量生産・薄利多売をやめた。他社には無い高性能のバネを微量だけ受注生産することに徹している。

例えば、ビデオカメラのメカを開発している研究者が、「こういう特性のサラバネがあればすごくスムーズな動きが実現できる」と思い付いても、通常のバネメーカーのカタログには載っていない。そんなとき、東海バネに電話すると「どんな特性ですか?はい、2週間でできます」と納期通りにきちんと届ける。大量生産のバネと違って値段は何百倍も何千倍も高価になりますが、研究開発者は実験には1個数万円のコストでも厭わない。実験が成功して量産するときには大量生産の会社に頼めばいいからです。

東海バネはこういう美味しい商売だけを北海道から九州まで拾いに拾って、今や年商18億円です。もちろん、利益率はものすごく高い。要するに、皆とは反対に徹している。日本の製造業が、他と同じところに殺到して大量に作って結果として自分で値段を下げている。そのモデルが問題です。

岡本:

東海バネは典型的な例ですね。私の知っている電機部品のお客さまは、以前は汎用的な半導体やコンデンサー、スイッチを造られていて、なかなか付加価値がなくて悩んでおられた。今回、久しぶりにお伺いしたら、それらを組み合わせて、デジカメなどの中に入るフレキシブルな集積基板を造られていた。自分たちの持っていた要素技術を統合してメーカーに売り込んで、いろいろなメーカーから仕事を請けて、新しいマーケットを創り出しておられる。以前とはビジネス・モデルも変わり、それにあわせて上手にITを活用している。そういう製造業が生き残っているように思います。

西岡:

付加価値をいかにつけていけるか、そこに集中していかないといけないと思います。そういう意味では、東海バネのような特徴を持っているぴかっと光る中堅・中小企業が日本を支えている。

自社の特性を活かしたIT活用

西岡:

IT活用は自社のバリューチェーンを正確に分析し、どこを情報化すると一番経営に効果があるかを知ることから始めるべきです。福井県で手漉きの良質な和紙を作っている梅田紙業はITを非常に上手に使った好例です。お客さまは書家や書道教室です。良質なので大変よく売れるのですが、お客さまは紙の残量に無頓着でなかなかオーダーしてくれないが、注文の電話がかかると「3千枚、今週中に欲しい」と言われるから、もらったオーダーをこなそうと思ったら残業に次ぐ残業、土日出勤になるのが常でした。社長は「お客さんが早め早めにオーダーしてくれたら、生産が平準化して残業代はいらないのに」と、ITコーディネータの指導で、顧客管理システムを導入して大成果を挙げたのです。顧客管理システムのデータを見ていると、この書道教室は1週間に何百枚使う、と統計的にわかってくる。すると、もうオーダーがくるはずだということがわかる。それを見て、「先生、もうぼちぼち作っておきますか」と電話するだけで全体の生産が平準化して利益率がぐんと上がったそうです。何も大したITではないけど、会社の財務体質は格段に向上した。そういうITの使い方をして欲しいのです。

岡本:

多くの場合、製造業でのシステム化は一気通貫を目指します。受注情報をどれだけうまく早くつかめるか、がちがちのシステムにする必要はないのですが、販売システムから生産システムまでを一気通貫にする。NECのパソコン事業でも季節変動はあるし、週次での需要変動などをどれだけ予測して仕込むかという話です。要は、社内システムというより、外とのつなぎの仕組みが大事になるということだと思います。

西岡:

そうですね。製造業の代表のインテルでもITの活用では大きな実績があります。10年も前にERPパッケージを導入したときのことです。当時、インテルの顧客管理システムはメインフレームによるバッチ処理でした。問題だと知りながら、規模が大きいので急には変えられなかったのです。その結果、先にオーダーした日本の分を、時差による情報の遅れでアメリカに取られてしまい、日本のお客さまに大変なご迷惑をかける事件が起こりました。「その原因はバッチシステムだからだ!」と営業会議でガンガン議論した。
 議論の結果、強力なIT部門が主張する自社開発も拒否し、パッケージのERPソフトを導入することになりました。インテルの業務プロセスをベストプラクティスに変えたのです。このシステム導入を主導したのはIT部門ではなく、受注業務を統括する、つまり業務内容を熟知する業務本部でした。それが本例の最も重要な点です。できたシステムは素晴らしく、受注してから最終の生産ラインを受注先にアサインできるようになり、受注の狂いもなくなりました。

シェアの高いインテルがそんなことをするとものすごく儲かります。日本インテルの在庫は60分の1になったのです。ついでに日本では、飛行機で届いたCPUをインテルの倉庫に入れるのをやめて、成田から各メーカーに直行することで倉庫をなくした。この経済効果はすごかった。本格的な製造業へのIT 利用だと思います。

ただ、そんなことのできる製造の形態は一般的でありませんが、要は会社の中でIT活用戦略が明確であれば大きな効果を得ることができるという例です。反対に戦略が明確でないと、却って大きな負担を背負ってしまいます。実際、ERPパッケージを入れた多くの企業がそれで苦しんでいるのを見てきました。導入時点で、社長がITをいかに理解するかを押さえておかないと、ITが役に立たないというのが私のやっているITコーディネータの運動なんです。

ビジネス・モデルを考えたIT活用

岡本:

私たちSIerの役割は、お客さまのビジネス・モデル、本当に勝てるモデルをどれだけ理解して、一緒にシステムを構築できるかということだと思います。お付き合いの長いお客さまは、その辺がよくわかっていて、上流から参加させていただきます。本当はITコーディネータの位置づけになると思うのですが、SIerはそういうところを一緒に検討しながらモデルを作っていけるかどうかが問われています。

西岡:

NECソフトさんもITコーディネータはずいぶん社内にいらっしゃる。ああいう人をもっと活用されたらいいと思います。

岡本:

経営者のところに伺うのは、会社のスタッフの方々と検討して提案書を作らせていただいてからが多い。やはり、企画・生産管理部隊の方々が中心になりますので、「今回はこういう狙いの仕組み・仕掛けをやってみたい」というところから相談させてもらってモデルを作るということが普通です。

西岡:

お客さまはこういうパッケージがあるとか、そういう用途ならこういうシステムが市販されているということを知らないから、こういうことを知っているIT ベンダーはよく話を聞いてあげて、「こういう話ならこれが役に立つ」「そういう話ならITはいらない」と、中小企業の経営者の身になって助けてあげていただきたいと思います。

岡本:

昨年、私たちは中堅製造業向けのテンプレートを用意しました。そこでは、グランドデザインを描いた中で、ここが一番問題だという点をお客さまと合意した上で、ここは簡単なパッケージあるいはテンプレートを使い、本当に注力しないといけない部分は手作りにしましょうという提案をさせていただく。製造業のプロセスをトータルに見たソリューションの提案をさせていただいています。

西岡:

中小企業の場合、そういう説明に対して理解のできるIT部門の人がいないというところが結構多いでしょう。だから、二言目には社長が「任せた」とITベンダーに丸投げしてしまう。自分の会社の生命線なのに、迂闊に「任せた」では困るんですが。それで1年後には全然使っていないという状況になる。システムを入れる決断をするときに、どこまで経営者が本気で絡んできてくれるかが問題です。

岡本:

あまり本気でないときは、我々も撤退する意思をもってやらないといけませんね。大手のお客さまはそれなりの方がおられて必ず意思をもってされていますが、中堅・中小企業の方は我々任せというのがありますので、その場面ではケンカしてでもやらないとうまくいきません。

社長が納得してからITを導入する

西岡:

ITを導入する際には、まず自分たちの商売、そしてバリューチェーンをきちんと分析することが必要です。経営から見て自社の問題は何か、どこが強みでどこが弱みか、チャンスを活かせないのはなぜか、その問題はどこからきているのかを追求する。バリューチェーンの中では必ずしもITと関係ない問題もありますが、ITで解決できるかどうかはIT専門家の意見を求めればいいのです。それらをきちんと分析して、問題を解決するためにITは本当に役に立つのか、そして同じような問題でITを導入して成功した例があるのかをベンダーに聞いてみる。「あったらそこへぜひ連れて行ってください」と頼むのです。ITを導入して幸せなユーザーはていねいに説明してくれます。業種は違っても問題点は同じということがありますから、必ずしも同じ業種である必要はありません。

ITベンダーに頼むときに、「問題があるから、あとはお願いします」ではだめで、どんなものを導入してくれるのか、どういう使い勝手なのか、リスクはどこにあるのか、会社の経営になぜ役に立つのかということをきちんと説明を受ける。社長も納得しなければいけません。そのとき、別にITの深い知識は不要です。ITは決して難しいものではなく、検索が速いとか計算が速いとか、そういうものがITだからです。ITの知識がないから無理だろうと思っているような経営者だったらダメです。前述の梅田紙業の話は、そんなに難しい話ではありませんね。琴線に触れるところまで経営者がきちんと把握しないと、どんなピカピカのITでも何の役にも立たない。

岡本:

NECソフトはソリューションを提供しますが、NECは製造業の一面ももっており、そこでの経験を活用できます。同じ問題を抱えているところでは、NECでの経験がヒントになって解決することもかなりある。上流から一緒に検討させていただければ、どういうサービスが適切かを判断できます。強みは、大手から中堅・中小製造業まで数十年の間に蓄積したノウハウがあることです。製造業のお客さまの課題は同じで、大手で悩んでいるところは中堅・中小も悩んでおり、中堅・中小の悩んでいるところは大手も悩んでいます。現場で蓄積したノウハウを十分活用することで、お客さまと一緒に問題解決をしていけると思います。

西岡:

最近、リフォームが大流行です。しかも賃貸でなくて分譲マンションで。マンションを買う頃は子どもが中学生になったとか、子どもが3人ということで間取りを考えますね。子どもたちが結婚して夫婦二人になると、細かい部屋はいらなくなるので、大胆に変えるリフォームの需要があるわけです。リフォームするのに 2千万、3千万という、付加価値の高いリフォームです。ここで大成功しているところは、過去のお客さんのところに有望客をどんどん連れて行く。良い施工をしてもらうと施工業者のファンになって、何の得にもならないのに、自分の家が見せたくて仕方がない。そこのリフォームを気に入っているからです。これが商談成功率のトップだそうです。

IT業界でも、これまで導入されたユーザー企業の中で、NECソフトのいうことなら、いつでもお客さんを連れてきていいよという、「NECソフトのお陰でものすごく助かったと説明してあげる」というお客さんを数多く持つことですね。既存のお客さまに証言してもらえたら、IT導入を考えている企業はものすごく安心します。そういうネットワークを作っていかれたらすごく面白いと思います。

岡本:

そういう意味では、私たちも多くのお得意さまがおり、パートナーとしてのお付き合いをさせていただいております。今後もお互い情報交換をさせていただき、私たちとお客さまが信頼関係を強めていければと考えています。私たちSIerの立場からすると、ITをうまく活用していただくには、抱えている問題の背景、バックボーンを教えていただいて、同じ視点に立ち、一緒に開発させていただければと思っています。私たちもお客さまに常日頃、勉強させていただいており、そのお返しをいつかはしていきたいと考えています。ぜひご一緒に取り組んでいければと願っています。

西岡:

最後になりますが、ITはマジックではありません。ですから、商品力がなく特徴もない会社をITでピカピカにいい会社にすることは無理です。反対に、良い会社であれば、ITでもっともっと良くすることができる。だから、まず良い会社であること、他社と比べていろいろな意味で競争力を持っていれば、ITを上手に使うとものすごい会社になります。ITとはそういうものであることを、よく理解して利用して欲しいと思います。

プロフィール

西岡 郁夫
NISHIOKA IKUO

モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長
1943年、大阪府生まれ。69年大阪大学大学院 工学研究科 通信工学専攻修士課程修了後、シャープ入社。81年工学博士(大阪大学)。技術本部コンピュータ・システム研究所所長、コンピュータ事業部長、情報システム事業本部副本部長を歴任後、92年インテル(日本法人)副社長に転進。93年代表取締役社長、97年代表取締役会長を経て、99年にインテルを退社。同年、モバイル・インターネットキャピタル設立。残された人生をベンチャー育成にかけている。

岡本 康成
OKAMOTO YASUSHIGE

NECソフト株式会社 製造ソリューション事業部 事業部長
1950年、和歌山県生まれ。74年山梨大学 計算機科学科卒業後、NEC入社。以来、30年製造業対応のSEとして販売物流、生産、SCMなどのシステム開発に従事、海外でのSIも含め担当。06年よりNECソフトにて製造ソリューション事業部長として活動中。

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