
志賀直温 市長
市民参加型による先進的な環境のまちづくり
最近の産業界における企業の不祥事は、商品やサービスの品質の欠陥が企業の存続に対して致命的な打撃を与えかねないという、社会的な影響の大きさを改めて知らしめました。お客様に提供する商品やサービスの品質保証は、組織にとって最低限当たり前の課せられた使命です。出荷前の厳しい品質チェックにとどまらず、組織活動全体における品質を向上させるプロセスが問われようとしています。その仕組みづくりではPDCAサイクルをきちんと循環させていくとともに、お客様の要件を充分に聞いて的確に対応することが欠かせません。そのためにもISO規準に則った業務プロセスがますます重要となってきました。品質を高めるISO活用の今を、2つの事例を通して探ります。
- プロフィール
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東金市役所
- 千葉県東金市東岩崎1-1
- 市制施行 1954年
- 人口 約60,000人
ISO14001によるPDCAの運用
千葉県中東部に位置して古くから農業や商業などを中心に発展し、豊かな自然環境が魅力の東金市。2000年2月に環境マネジメントシステム ISO14001の認証を取得し、2年目に当たる2002年の外部監査でも、前年に続いて「向上」しているという総合評価を受けました。
東金市の特徴は、志賀直温市長を頂点とした関係者の強い指導力により、総合的な環境施策に基づく先進的な環境のまちづくりを進めていることです。電気・ガス・紙などの消費量削減による環境負荷低減とともに、積極的な環境保全として山林や農地の保護、緑地の整備、下水道の普及促進、リサイクルの実施などに取り組んできました。
「市民アンケートでも環境保全に対する要望は強く、市として環境重視の施策を打ち出しています。行政が率先して地球規模の環境を考えながら、 ISO14001のPDCAサイクルを循環させて取り組むことが大切です。職員の意識改革とともに、市民にも取り組みを理解してもらい、地域をあげて環境の向上を図っています。草花や小動物を定点観測する調査グループが生まれるなど、市民の環境意識が盛り上がりつつあります」と、志賀直温市長は語っています。
ISOでは、PDCAとして計画(Plan)、行動(Do)、点検(Check)、見直し(Action)を業務の中で推進していくことを要求しています。行政では計画は数多く立案されますが、その進捗のチェックや見直しが行われているとは限りません。そのため、計画がうまくいかないことも多々ありました。
PDCAを循環させていくことにより、現状で計画の達成が可能なのかどうか、見直しが行われます。行政にPDCAを持ち込み、計画の進捗をチェックすることはこれまで少なかったことなのです。
「今までは、廃棄物の減量にしろリサイクルにしろ専門の部署で取り組めばよいという意識が強かったと思います。そうではなくて、全庁あげて全職員で取り組むという位置付けが大切です。さらに当市役所では職員だけでなく、業務委託している民間の清掃の方たちも巻き込んで実施しています。外部審査員は、広範囲にわたって環境意識が徹底され実行されていることを高く評価してくれました」(志賀市長)
環境パフォーマンス管理と文書管理

市役所受付に提示された
ISO14001認証取得の
看板の前で微笑む
関係スタッフのみなさん
SO14001における内部監査には、市民からオブザーバーを公募し、職員とともに監査に当たってもらっています。2001年は4名、2002年は5名が選ばれました。また環境のロゴマークやマスコットを公募したところ、多数の応募がありました。市民参加型の環境施策は、大いに注目されます。
市内でISOを取得している企業とも連携し、「九十九里ISOネットワーク協議会」を立ち上げています。行政と地域企業が環境問題について協議し、お互いに監査し合うことで研鑚を積んでいるのです。他の地元企業でもISO14001認証取得の気運が盛り上がるなど、市役所だけでなく地域ぐるみで環境に取り組んでいることの効果が着実に生まれています。
2001年7月からは、職員全員にパソコンが行き渡ったこともあり、Eメールでの連絡や文書のやり取りを活発に行っています。また地方自治体では初めて ISO14001の電子化を実現させました。NECソフトのISO支援総合文書管理システム「ISOLUTION」を活用し、主要環境指標を集計する環境パフォーマンス管理と文書管理を融合させて、環境マネジメントシステムの円滑な運用を図っています。
環境パフォーマンス管理は、電気や都市ガス、事務用紙などの消費量の削減、公用車の燃費率の向上などについて、目標値を設定し、実績を毎月集計し、達成率をチェックするものです。このシステムでは、簡素化した画面から入力さえすれば、ボタンひとつで集計され、瞬時に結果が表示されるようになっています。市役所内の40ある課の中でも、教育委員会のように幼稚園や図書館など集計対象となる施設が多い課ではこれまで煩雑な集計に時間がかかっていましたが、システム導入により大幅な時間の短縮がもたらされています。
集計結果は、市役所全体に約100部が電子配布されています。単に集計すればよいというのではなく、各課が本来業務と集計結果がどう関わっているかを認識し、市役所全体で対策をたてるようにしています。環境パフォーマンス管理によって、環境意識の徹底化が図られているのです。
ISO9001認証取得を行政評価につなげる

一般公募から決定した
ISO14001のロゴマーク
環境パフォーマンス管理の集計データは整理蓄積されるため、毎年ISO認証機関からチェックを受ける審査時にも提出でき、審査の迅速化を可能としています。また、これまでにまとめたマニュアルや手順書、様式集などの文書を再ファイリングして文書管理システムを構築しています。規格項目ごとに必要箇所を検索して瞬時に引き出せるとともに、改定版文書を再配布しないで更新することができます。
次の目標は、いうまでもなくISO9001の認証取得です。本年1月21日に、2003年2月の認証取得を目標とするISO9001のキックオフが行われました。市役所における品質向上とは、住民サービスの向上に他なりません。手続きや応対などにおける迅速なサービスに期待がもたれます。
「地方自治体行政によるISO14001に基づく活動としては、誇れるものができたと思っています。次はISO9001に取り組み、14001と 9001 とのダブルの認証取得による効果を出していきたい。両方をPDCAのサイクルで運用していくことにより、今までできなかったことができるようになるはずです。行政の事業などが低コストで最大の効果を発揮するようにします」と志賀市長。
志賀市長は、ISO9001認証取得の先につながるものとして、市民参加型の行政評価や施策評価をあげています。必要な施策について市民に理解し判断してもらい、さらには施策立案の段階から市民に参加してもらうという構想です。PDCAの手法により運用していけば不可能なことではありません。
ISO14001で培ったノウハウはISO9001に確実に活かされようとしています。14001と9001を市民参加型行政のツールとして活用しようという、今後の東金市役所の施策が注目されます。
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