
福田光久 理事・
IT推進部 部長
本社と工事現場間で多様な情報共有を実現
空調工事で高い技術力を誇る新日本空調株式会社は、国内外に点在する工事現場と本社および各事業所間で各種業務情報を共有するため、NECソフトの建設業に特化したASPサービスを利用しています。自社でシステムを構築運用するのに比べて、大幅なコスト削減を実現。さらに情報が地域格差なくスピーディーに伝わり、コミュニケーションが密になったことによって、本社と現場の一体感が強化されています。
- プロフィール
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新日本空調株式会社
- 設立/1969年
- 東京証券取引所市場第1部上場/1993年
- 従業員/1,059名
- 営業品目/空調・冷暖房・換気・給排水・衛生・電気・公害防止設備
- 本社/中央区日本橋本石町4-4-20三井第2別館
建設現場の円滑な業務コントロールのために

上垣内(かみがいと)敦美
IT推進部
企画推進グループ課長
新日本空調は、冷凍機をはじめとする空調機器の製造と空調工事を手がけていた東洋キヤリア工業(現、東芝キャリア空調システムズ株式会社)の工事部門が、1969(昭和44)年に分離独立して誕生した会社です。冷暖房工事だけではなく、湿度や塵の量をコントロールしたり、建材から出るガスを除去する空調システムも手がけています。なかでも厳しい条件が要求される半導体工場のクリーンルームでは、30センチ四方の空気の中に0.1ミクロンの塵1個さえ入りこまない空間を生み出しています。
また原子力発電所の空調システムでは、非常時に空気の圧力を下げ、放射線ガスが外に漏れないようにする技術も必要となります。こういった空気の圧力コントロールは、病院での院内感染の防止など様々な分野にも応用されています。
「もともとは製品を作っているメーカーでしたから、エンジニアリングのスタンスを持った工事会社という特長があります。発注者の仕様に基づいて施工さえすれば終わりなのではなく、空調システムというひとつの製品を提供しているのだと考え、ソリューションサービスやアフターサービスにも力を入れています」と福田光久IT推進部部長は語っています。卓越した技術力と精緻な仕事への取り組みが、お客様からの大きな信頼につながっているのです。
同社では、社員の多くがビルや工場、病院など建設現場に出て業務に当たっています。現場は空調システムを製造するひとつの工場のようなもので、プロジェクトは年間に約400件発生し、平均2年間継続します。常時約800件のプロジェクトが国内外に点在して動いているのです。
建設現場の業務を円滑にコントロールし、空調工事を確実に実施するには、現場と本社間の情報交換や連絡を密接に行うことが不可欠です。ところが、これまで建設現場は全社の情報ネットワークから取り残されていたため、必要な情報がタイムリーに現場に伝達されず、また現場からも本社の最新の情報がなかなか手に入らないという問題がありました。それを一挙に解決することになったのが、インターネットの普及によるIT化の実現でした。
必要な情報を地域格差なしに共有
現在、本社と建設現場で共有されている業務情報は様々です。本社からは、安全衛生管理、品質環境管理(ISO)、技術管理、人事管理などの情報が現場に発信されています。さらに事業所からは、指示通達事項、技術計算プログラム、会議議事録、技術データ、帳票類など、現場からは現場スケジュール、進捗情報、 ISO記録などが発信され、情報共有に成功しています。
新日本空調では、従来情報システム部が経理や業務などの基幹システムの情報化を進めてきましたが、2000年にIT推進部に名称を変更して全社的なIT 化に取り組むことになりました。「ビジネス展開や業務の改善、利益の向上などの付加価値を生み出すところに情報を活用するという意味で、IT推進部にしました。それまで情報システム部は、各部署の仕事をフォローするための経費扱いで、消極的なスタンスでしたが、今は一種の設備投資だと考えています」と福田部長。
基幹業務の端末処理にパソコンを利用するだけでなく、社内LANを構築して各事業部の情報共有を行うとともに、全社員がEメールを使えるようにし、全社員のスケジュールも公開できるようにしました。それらを経て、建設現場のIT化に取り組んだわけです。
技術情報を伝達するのに、以前はCD-ROMで配っていたものもありましたが、変更があるたびに配布するわけにはいかないので、どうしてもタイムラグが生じていました。現在は、現場の担当者が必要な情報をいつでも地域格差なしで見ることができるようになり、スピーディーに情報が伝わるようになっています。また、会議の回数が減るという成果も上がっているようです。
インターネットを活用するに当たって問題となったのが、セキュリティーでした。工事現場には、いろいろな会社が入っているため、直接社内システムとつなげると、他社の人間が入り込む危険性があるのです。そこで、社内ネットワークから独立したシステムとして運用することによってセキュリティーの強化を図ることができ、必要な期間だけサービスを利用できるシステムとしてASPサービスに着目したわけです。
強化された本社と現場との一体感
「現場のIT化を進めるに当たり、社内ネットワークに直接接続するか、社外にサーバーを置くかを検討しました。社外に置いて自社でシステムを構築せざるを得ないと考えていた際に、ASPサービスが視野に入ってきました。セキュリティー上の問題をクリアでき、即導入できてサーバー管理の煩わしさがないことを重視してASPサービスに決定しました」と上垣内敦美IT推進部企画推進グループ課長は語っています。
ASPサービスでは、NECソフトのコラボレーションASPサービス「ExtraSpace」を選択しました。情報共有に必要な機能を備えていることや、NECソフトに建設業を専門とする部隊がいることなどを踏まえて検討した結果によるものです。
導入に際しては、正確にコスト計算をした上で最終決定が行われています。初期投資という観点では、自社開発にはサーバーからソフトウェアまで開発する費用が必要ですが、ASPを利用すれば基本的な契約料金だけで済みます。またランニングコストも、自社でソフトウェア、ハードウェアを抱えれば、その保守費用が必要となりますが、ASPなら借りている料金だけなので、大幅なコスト削減効果が得られるわけです。
「現場は、本社と連携している“工場”という位置付けになりました。現場に必要な情報をASPにのせておけば、仕事の標準化ができ、他の現場との情報交換も可能になり、連携もできます。ASPを導入してからは、上司とのコミュニケーションが取りやすくなり、本社と現場との一体感が強くなりました。社内と同じ情報が得られるので、疎外されていないという安心感もあります」(福田部長)
新日本空調では当初、本社と建設現場との情報共有という社内システムの補完としてASPを捉えていましたが、もっと拡大していく方向で検討を始めています。現場では、同社の協力会社も一緒に働いており、協力会社との情報共有の必要性も出てきているからです。
「最終的には現場から全社システムにつなげられる形態にしていく方針です。それでも、協力会社との関係強化のためにASPを適用し、さらに新たな分野への適用を検討していくことになるのではないかと考えています」と上垣内課長。新たな付加価値を生み出す分野を模索する中で、ASPサービスの活用がさらに広がっていきそうです。

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