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島村聡
経営管理局
IT推進室主幹

市民・NPO・企業を主役として沖縄の熱い心で推進する「あったかネット那覇21プラン」

沖縄本島中部に位置する那覇市は現在、新都心「おもろまち」が始動し、建設中のモノレールも完成間近で、清新な都市の息吹を感じさせます。古都首里を擁し、華麗な琉球王朝の歴史に触れることもできれば、名所・公設市場界隈では沖縄的なパワーと、どこかアジア的な雰囲気も満喫できる全国トップの人気観光地です。そんな那覇市のIT推進計画「あったかネット那覇21プラン」が名前通りのヒューマンな展開に成功している背景には、沖縄ならではの熱い心が働いているようです。2003年4月にオープンする新サイト『すくすくねっとなは』も、子育てに悩む母親を支援する専門サイトとして期待がもたれています。

プロフィール

那覇市

  • 本庁/沖縄県那覇市泉崎1-1-1
  • 市勢/沖縄県の県都として、人口30万人余を有する政治・経済・文化の中心地。新都心の建設や2003年開通予定の都市モノレール事業、教育福祉事業など、市民本位の諸施策を展開し、創造・共生そして交流のまち・那覇の実現をめざしている。

人の心を活かし、人の心と心をつなぐ道具としてのIT

staff
IT推進室のみなさん

 那覇市のIT推進計画「あったかネット那覇21プラン」は、立ち上げの段階からユニークな形をとってきました。まず、テクノロジーやハード面の先行を避けることが重視されています。諮問機関として基本デザインを示す「戦略会議」のメンバーは、ほとんどがITの専門家ではありませんでした。元東京高裁の裁判長という座長以下、NPOリーダーや企業人など、異色の顔ぶれです。そして生まれた骨子は、ITを「人の心を活かし、人の心と心をつなぐ道具」と位置づけ、市民・NPO・企業を主役として、ソフト主導で推進しようというものでした。
 「私たちは、後方支援に徹しています。民間の自主性を重んじ、民間にできることは民間に任せる方針です。たとえば、市のホームページ上で開設している『なはゆんたく(沖縄言葉で「おしゃべり」の意味)広場』は、まさに人の心をつなぐ場として、大いに活況を呈しています。市民はもちろん、他府県の方々も遊びに来ます。これを運営しているのも、NPOをはじめ市民ボランティアの方々です。市はインフラや予算を提供し、サポートすることは惜しみませんが、口は出しません。行政が受けるべき内容の意見や質問に対応する程度です」と、経営管理局IT推進室の島村聡主幹は語っています。
 こうしたシステムが驚くほど順調に根づき、成長している原動力は、沖縄の人たちの最大の特長である郷土愛の強さと人情の厚さと言えるでしょう。「シマ」と呼ばれる故郷のまちを愛し、助け合いの精神を大切にする熱い心。地域のため、コミュニティーのためならば尽力を惜しまない人々が、たくさんいるのだそうです。
 那覇市では、すでに156施設が光ファイバーで結ばれており、市営住宅にCATVが導入されるなどの整備が進み、現在ブロードバンド化率は14%です。また高齢者をはじめとする、公共サービスの必要性は高いもののパソコンには馴染みがないという市民層を無視することはできません。しかしテクノロジーの進化が、計画推進の力強い追い風となっています。
 IT社会構築の上で最大の課題であった情報バリアフリー。それが今、パソコンのみならず、携帯電話向けのインターネットが爆発的に普及していることによって、著しく進展しています。さらにFAX情報やタッチパネル情報、音声情報なども含め、マルチメディアが一般に幅広く定着してきました。

携帯メール時代が子育てを支援

 この機をとらえて那覇市が2003年4月にオープンする新サイトが、『すくすくねっとなは』です。那覇市は県内最大の都市として、流入人口が増加し核家族化が進んでいます。「門中」と呼ばれる親族や「シマ」など、沖繩の伝統的な人の絆が薄れつつあり、一人で子育てに悩む母親も少なくありません。また母子家庭が多いこともあり、子育ての支援は重要課題のひとつなのです。
 「『すくすくねっとなは』は、『なはゆんたく広場』の発想を生かしたものです。これまでも広場の中に『子育てフォーラム』を設けてはいたのですが、子育てに関わる悩みや質問が増え続け、もっと高度に機能する充実した専門のサイトが求められていると痛感したわけです」(島村主幹)
 『すくすくねっとなは』は、インターネットに不慣れな人にとっても大変利用しやすいサイトになっています。具体的なメニューの中から自分に必要な項目を選んで、システムを利用することができます。妊娠中や子育ての中で、各種申請手続きや諸制度についてワンストップで調べることができ、申請書をダウンロードすることもできます。また、どの区域にどんな保育所があるのか、その空き状況までがリアルタイムでわかります。さらに、所得、各種控除等の条件をもとに、保育料、児童手当の試算ができるシミュレーションシステムもあります。
 さらに親身でこまやかな対応を実感できるのは、利用者が個人ポータルサイトを持つことができるシステムです。子供の名前・性別・生年月日を登録すれば、成長に合わせてタイムリーに、検診や予防接種、参加できるイベントなど「その子のための情報」が配信されます。
 相談システムも、繊細かつ柔軟な対応になっています。利用者は、育児に関する質問や悩み、提供したい知識や情報などを投稿する際に、回答の受け取り方として電話・FAXはもちろん、Web上で参照するか、メール受信するかを指定することができるのです。子育てに関するイベントなどの情報をサイト上で調べられるだけではなく、希望者にはパソコンや携帯電話にメールで配信されます。

"県産品"を活かして高度化を実現

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『すくすくねっと なは』

 「まさに“あったかネット”の名にふさわしい、これほど高度なサイトが生まれたのは、『マルチメディアポータル工房』のおかげです。“県産品”を使って市民サービスができるというのも、大変うれしいことでした」と島村主幹。マルチメディアポータル工房は、NECソフト沖縄がNECソフトウェア北陸と共同開発し、ホームページの作成・運用を容易にした地方自治体向けの広報活動支援ソフトです。
 専門知識がなくても簡単に入力操作でき、一度の操作でマルチメディアに向けたコンテンツを自動的に生成します。管理者の承認がなければコンテンツが公開されない機能や、ハッカーによる情報改ざんを予防する機能を持ち、クオリティーの高いIT社会の実現に大きく寄与します。
 こうした技術によって一段と情報バリアフリーが進めば、市民サービスや街づくりの形を変えるような、理想的な電子自治体が構築され、さらにはネット上で、バーチャルではないシマの絆がよみがえることも、期待できそうです。

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