
株式会社大林組
本店 建築工事第一部
情報課
課長
鈴川 重信 氏
アナログ的な操作性を備えた工事写真管理ソフトを使いこなし、工事写真台帳の作成を効率化
大量の現場写真を日々撮影する工事現場では、効率的に写真を管理するためのシステムが欠かせない。日本を代表するゼネコンの1つである株式会社大林組では、NECソフトの「蔵衛門御用達 8 Professional」を全社的に導入。日常業務の効率化だけではなく、新たな業務価値の創造を実現したという。
- プロフィール
-
株式会社大林組
- 本社所在地:東京都港区港南2-15-2
- 本店所在地:大阪府大阪市中央区北浜東4-33
- 設立:1936年(1892年創業)
- 資本金:577億5200万円(2008年3月現在)
業務の効率化と新たな付加価値の創造を目指す
建築や土木の工事現場では、写真の撮影と管理は大きなウェイトを占める作業の1 つです。ビルなどの「建築」の場合、着工から竣工までのさまざまな段階で撮影を行います。特に耐震強度偽装が問題になった昨今では、鉄筋のような竣工後には見えなくなってしまうものの撮影にも細心の注意を要するようになってきていると言われます。
一方、道路などの「土木」の場合は、写真管理の作業はさらに重要なプロセスの1つです。土木の公共工事については、国土交通省が「デジタル写真管理情報基準(案)」を制定しており、工事を請け負う各社はこの基準に従って写真を整理し、提出する義務があるのです。

株式会社大林組
東京本社 土木本部
本部長室 IT 推進課
CALS/EC エキスパート
杉浦 伸哉氏
建築・土木ともに、必要な写真の枚数は小規模な工事で数千枚に上り、2~3年がかりの大規模な工事ともなれば数万枚に及ぶことも珍しくありません。フィルムであったころに比べて楽になったとはいえ、管理しなければならない写真の枚数は膨大です。デジタル写真管理のワークフローをいかに工夫するかは、業務全体の効率を左右すると言えます。
大林組は写真管理ソフトとしてNECソフトの「蔵衛門御用達 8 Professional」(以下、蔵衛門御用達)を全社的に導入。クライアント数は合計で約2,000。あらかじめパソコンに蔵衛門御用達をインストールしてから、現場各部署に配布しています。建設業界において、これだけの規模で写真管理ソフトを一括導入している企業は、ほとんど例がありません。
同社がこのように写真管理ソフトの大量導入を行っている理由は、大きく分けて2つ。既存業務を効率化すること、そしてデータから新たな付加価値を生み出すことです。
まず業務の効率化についてですが、蔵衛門御用達はネットワークを利用した共同作業機能が充実していることがポイントとして挙げられます。工事の規模が大きくなると、複数の担当者で写真管理の作業を分担して行うため、大林組ではネットワーク上の共有フォルダを使うことで作業を効率化しています。
蔵衛門御用達で写真を整理。工事写真台帳として、そのまま印刷できる
「『こっちは品質管理』『そっちは施工状況』というように、担当者ごとにアルバムを分担しています。アルバムに排他処理をかけ、他の人が操作できないようにすることもできます。こうした共有機能を利用することで、工事写真の整理時間を短縮できました」(東京本社土木本部 本部長室IT推進課 CALS/ECエキスパート 杉浦伸哉氏)。
ネットワークを介したアルバムの共有は、社内だけではありません。工事によってはJV(Joint Venture)体制を組み、複数のJV構成会社の職員が同じ事務所内で共同で工事にあたるケースもあります。当然、工事写真の共有も必要ですが、蔵衛門御用達は別会社で購入されたライセンス同士でもアルバムの共有を可能にしています。
「JV の現場では、写真整理などの業務を各社に分担してもらうことが少なくありません。ネットワーク共有の機能は必須です」(本店 建築工事第一部 情報課 課長 鈴川重信氏)。
蔵衛門御用達にはアルバム風の本棚ビューがあり、従来のアナログ的な使い方ができる点も、現場で好評だと言います。
「写真台帳をベースとしているので非常に親しみやすい点を土木の現場でも評価しています。打ち合わせでピックアップした写真を整理して、紙の工事写真台帳としてすぐ印刷できるのも便利ですね」(杉浦氏)。
効率化に留まらないデジタル写真ならではの付加価値

建築部門の鈴川氏は写真をデジタル化することで生まれる付加価値は時間的な効率の向上以上に大きいものになると強調します。
フィルム写真を使っていたころは、撮影した写真は段ボールに詰め込まれ、10年経ったら廃棄されていました。しかし、デジタル写真であれば、場所を取らずに何枚であろうと何年であろうと保存できます。段ボール箱から古い写真を取り出すのは一苦労ですが、デジタルデータを取り出すのは造作もないこと。すべての写真をいつまでも保存して、いつでも取り出せる、それこそが業務改善だと言うのです。
「デジタル化された工事写真は、きちんとした品質が確保できている証拠としての価値を持つようになってきました。工事写真を保管しておけば、将来のリニューアル工事の際などに当時の施工状況を確実に振り返ることができます。こうした業務改善を全社的に行うには、統一された環境が欠かせません。蔵衛門御用達を全社的に導入している一番の理由はここにあります」(鈴川氏)。
こうした観点から鈴川氏が評価するのは、データフォーマットです。蔵衛門御用達は、データをプレーンテキスト、JPEG、XMLという標準的な規格で保存します。汎用的に使われるこれらの規格を使っていれば、将来的にデータを読み出せなくなるという不安がありません。大林組では、蔵衛門御用達で整理した写真データを各支店で保管して、万が一のトラブルにも対応できる体制を取っています。
手作りマニュアルとワークショップで、ユーザーを教育
社内での写真管理のデジタル化がスムーズに進んだのは、社員教育での工夫によるところも大きいと言います。昨今のソフトウェアは非常に多機能なため、添付マニュアルも分厚くなりがちです。そのため、鈴川氏は建築部門用に独自マニュアルを作成し、イントラネットから全社員が参照できるようにしました。この独自のマニュアルは、デジタルカメラから写真データを読み込むことから、DVDメディアに書き込み、納品にいたるまで、必要な操作を図版入りで解説した労作です。
一方、土木部門ではデジタル写真管理情報基準(案)への準拠も徹底させる必要があり、「着手前及び完成」「施工状況」「安全管理」「使用材料」「品質管理」「出来形管理」「災害」「その他」という区分で写真を整理することになっています。蔵衛門御用達には基準に則ったテンプレートが用意され、これを利用すれば問題なく作業できます。しかし、この基本を踏まえずに写真を整理したために、全部やり直しになった現場もあるとか。
土木部門の杉浦氏は現場の担当者を集めて年に1回研修会を開催。その内容は、まず参加者に研修用写真データを渡し、自治体や国土交通省に納品できるスタイルに30分以内でまとめるというものです。
「『この通りに作業してください』と説明されても、実地ではその通りにできないものです。そこで、参加者自身に作業してもらってから、私の手順を見せ、自分たちの手順との違いを発見してもらいます。最低限のクリアすべき要点を伝えたら、『あとはお好きな手順で』というやり方を取っています」(杉浦氏)。
参加者は自分で手を動かしながら学び、しかも効率的な操作方法が発見できることから、効果的に習得できると言います。
大林組は、さまざまな要望をNECソフトに出しており、いくつかの機能は現行バージョンに組み込まれています。その1つがExcelシート連携機能です。蔵衛門御用達では、複数画像のコメントやその他の情報をExcelで一括して編集できます。しかし、工事写真に限らず、コメントを付けるには元の写真を見ながらのほうが作業しやすくなるはず。そうした大林組からの要望を受け、現在の蔵衛門御用達のExcelシート連携では写真のサムネイルも一緒に表示されるようになっています。
また、一般建築工事用納品テンプレートの追加や、細かな操作性の改良も同社の要求に基づいて行われました。まさに、現場の声が蔵衛門御用達を育ててきたと言えます。
蔵衛門御用達の運用イメージ
システム担当より

NECソフト株式会社
静岡支社
ソリューションビジネス部
リーダー
清田 真司
多くの工事写真管理ソフトでは、納品データの出力形式は監督官庁の基準に準拠しており、一般建築工事についての対応が十分ではありませんでした。最新バージョンの蔵衛門御用達では、大林組様が実際に社内で使われている、一般建築用の電子納品基準を取り入れさせていただきました。このおかげで、工事写真管理ソフトとしての利用範囲が大幅に広がったと考えています。また、ボタンの配置やメニューについてもご意見をいただき、より少ない手順で快適に操作が行えるよう、改良を重ねています。
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