
NECモバイリング株式会社
販売事業本部
サポートセンター長
中屋敷 剛氏
携帯電話市場の次の波に備え、店舗業務を効率化。データのリアルタイム管理とセキュリティ強化を達成
今や1人1台が当たり前になった携帯電話。しかし、ドコモショップをはじめとする販売店舗業務の実態は、あまり知られていない。移動通信事業者(携帯キャリア)の一次代理店であるNECモバイリング株式会社は、全国に100以上の店舗を展開している。NECソフトとともに実現した店舗業務の効率化を柱とする新しい販売管理システムの構築は、全国の店舗スタッフをも巻き込んだ、一大プロジェクトであった。
- プロフィール
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NECモバイリング株式会社
- 所在地:神奈川県横浜市港北区新横浜2-4-18
- 設立:1972年
- 資本金: 23億7078万円
店舗での二重入力をはじめとする、複数の課題解決が急務に
NECモバイリングは、NTTドコモをはじめとする携帯キャリアの一次代理店として、全国に100店舗以上を展開。携帯電話の加入者獲得、端末の販売、利用代金の受取、修理・保守サービスを行う一方、携帯電話基地局のシステムエンジニアリングなど技術サービスおよびモバイルソリューションを提供しています。

NECモバイリング株式会社
IT推進部 主任
石ヶ谷 洋一氏
携帯電話の普及により順調に業績を伸ばしてきた同社ですが、国内の携帯電話の契約数が1億件を超え、市場への飽和懸念が出てきたのも事実。市場は新規加入から取り換え需要へと切り替わり、契約者1人あたりの事業者収入も減少傾向にあります。
その一方、世界に先駆けて開始された第三世代移動通信サービス、光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービスの普及、両者が融合したFMC(Fixed Mobile Convergence:固定網と移動網の融合)への動きなど、携帯電話をめぐる市場は、ますます活性化する動きもあります。
こうした市場の激しい変化に柔軟かつスピーディに対応するため、NECモバイリングは販売管理システムの刷新に着手しました。このプロジェクトを同社と一体となって支えたのが、NECソフトです。
以前のシステムで特に問題となっていたのが、各店舗で行われていたデータの二重入力でした。具体的には、NTTドコモなど事業者向けのデータをスタッフが入力したあと、改めて自社システムに入力する必要があったのです。その事情について、販売事業本部 サポートセンター長である中屋敷剛氏は次のように語ります。「契約時には、お客さまの氏名や住所、機種などを店舗のスタッフが入力しますが、これはあくまで事業者に送られるデータです。我々は事業者のシステムを借りて、データ入力を代行しているにすぎません。しかし、販売機種や販売数などのデータは我々の管理業務にとっても必要な情報です。そのため店舗のバックヤードでは、販売管理に必要なデータを、我々自身のシステムに再度入力する作業を行っていました」。
また、従来のシステムでは各店舗にサーバーが設置され、サーバーに蓄積されたデータは毎日1回、夜間の自動バッチ処理により本社に送信される仕組みでした。このため、現場のデータが約1日遅れで本社に伝わり、リアルタイム性という点で問題がありました。
さらに、店舗内にサーバーがあるため、セキュリティやメンテナンスの面でも課題を抱えていました。その他にも、ハードウェアとソフトウェアそのものの老朽化、急拡大する店舗数への柔軟な対応、市場変化への迅速な対応など、社内外のさまざまな要因からも、新しい販売管理システムの導入が急がれたのです。
データ入力時間を大幅に短縮。リアルタイムでのデータ把握も可能に

携帯電話の販売店舗では多種多様な機種が、さまざまな契約内容のもとに販売されている。その複雑さが増すにつれて、接客スタッフの業務も増えていくためスタッフ業務の軽減が大きな課題となっている
NECソフトとともに取り組んだ新しい販売管理システムのプロジェクトは、2005年12月に発足。約1年半の開発期間を経て、2007年6月に東北地区から導入がスタート。2008年1月に首都圏の店舗に導入されたことで、全国ほぼすべての店舗で本格的な稼働を開始しました。
懸案となっていたデータの二重入力については、新システムの導入によって大きく改善されました。新しいシステムでは事業者データを活用できるため、店舗での入力必要項目が大幅に削減され、その結果入力に要する時間も大幅に短縮されたとIT推進部 主任 石ヶ谷洋一氏は語ります。「新システムの導入後、店舗のスタッフにアンケートを実施しました。それによると、1件あたりのデータ入力の時間が従来の約半分程度に短縮されました。コンピューターそのものも高速化しましたので、スタッフの評判も上々です」。
また、データセンターにサーバーを集約したWebベースのシステムに変更したことで、販売データや在庫データをほぼリアルタイムで把握できるようになりました。その結果、社内における意思疎通がスムーズになり、思い違いや誤解が少なくなったと言います。
「従来は、特定の機種の在庫を確認したくても、タイミングによっては各店舗に直接問い合わせる必要がありました。その過程で、思い込みや誤解による行き違いが発生していたのも事実です。しかし新しいシステムでは、直営店だけでなく関係会社を含む全国の店舗の販売状態がほぼリアルタイムでわかりますので、このような行き違いは明らかに少なくなっています」(中屋敷氏)。
新しいシステムは、今後の店舗拡大にも大きく寄与すると期待されています。店舗にサーバーを置く必要がなくなったので、店舗数の拡大にも低コストで柔軟に対応できるようになったのです。
「これまでは、新しい店舗を開設するたびにサーバー用コンピューターの調達・設置が必要でした。しかし、今は店舗サーバーが不要なので、今後店舗数を拡大していく上でも有利です。また、規模の小さい店舗でもシステムを利用できるというメリットも生まれました」(石ヶ谷氏)。
時代に適合した十分なセキュリティを確保

新しい販売管理システムでは、時代に合わせたセキュリティ強化も課題でした。もちろん従来のシステムでもある程度のセキュリティは確保されていましたが、6年以上前のシステムであり、限界が見えていました。
新しいシステムでは、店舗で入力したデータはすべてデータセンターのサーバーに送信・保存されます。データセンターは厳重なセキュリティが確保されており、全国の店舗にサーバーが分散していた以前と比較すると、大幅なセキュリティ強化です。また、従来はサーバーのデータを店舗側でテープにバックアップしていましたが、その手間も不要になりました。
さらに、アクセス権限を階層的に設定できるようになりました。従来のシステムでは、管理者と一般ユーザーの2種類の権限しかなかったため、管理者権限を持つユーザーは、どこからでもシステムにログインし、データを自由に閲覧・変更できたのです。
「たとえば、ある店舗の店長は、別の店舗からでも店長権限でシステムにアクセスできました。しかし、新しいシステムでは、店舗ごとや担当者・グループ単位でのアクセス権設定を行っているため、こうしたことは不可能になっています」(中屋敷氏)。
同時に、ほぼすべての操作がログとして記録されるようになりました。誰がいつシステムにログインし、どんな操作を行ったか、すべてログとして記録されることは、内部統制やコンプライアンスの観点からも大きな機能強化と言えます。
現場の声をシステムに反映することの難しさと重要性を実感
機能、操作性、セキュリティなど、さまざまな面で強化された今回のシステムですが、その開発の裏側ではさまざまな苦労がありました。特に、店舗スタッフの意見を吸い上げて、システムに反映していくプロセスが大変だったと、中屋敷氏は振り返ります。
「今回のシステムでは店舗スタッフの業務改善が大きな課題でしたので、事前に全国の店舗スタッフにヒアリングを行い、各店舗特有の操作や使い方などを詳細に調査しました。ところが導入テストの段階で店舗スタッフに操作してもらうと、いろいろな不満・不備が出てきたのです。ヒアリングの段階ではスタッフ自身も気づかなかった操作や使い方が、テスト用のシステムに触れることで、はじめて明らかになったのです」(中屋敷氏)。
同じシステムでも、すべての店舗で同じ使い方がされているとは限りません。もちろん、たとえば店舗やスタッフによって入力する項目の順番が異なるなどのローカルルールの存在は事前に認識していました。それでも、いわば意識化されていない「自然に身についた手順」が存在していたのです。それはスタッフが実際にテストしてみて不具合を感じ、はじめて顕在化しました。こうした不具合が発生するたびにNECソフトと協議し、機能を追加したり、運用面でフォローするなど柔軟に対応していきました。

従来は販売実績データを事業者システムと自社システムに二重登録する必要があったが、新システムでは事業者システムのデータを活用できるため、店舗スタッフの入力作業が大幅に軽減された。
現場である店舗の協力を得る難しさもありました。現場は現場で日々の業務に追われています。その中で、新システム導入のために時間を割くことは難しいものです。新システムのトレーニングの局面でも、繁忙期を避けたり、店舗ごとの事情やスケジュールに合わせてトレーニングを実施したりといった苦労がありました。 新しい販売管理システムは総合力が大幅に向上しましたが、改善・改良の余地はまだあると石ヶ谷氏は言います。
「店舗スタッフからの意見を柔軟に吸収してもらえたため、二重入力の軽減など店舗業務の効率化はかなり実現できました。ただし、効率化できる余地はまだ残っていると思いますので、これからもNECソフトと相談しながら、さらなる調整を続けていく予定です。また、リアルタイムで得られたデータを分析して地域ごとの販売戦略や在庫調整に役立てるなど、データを戦略的に活用していく仕組みも検討したいですね」(石ヶ谷氏)。
また、関係会社に対するサービスメニューの1つとして、このシステムを提案していくことも検討されています。 「リアルタイムで在庫・現金管理ができるのは大きな利点です。我々のビジネスのノウハウが詰まったシステムですので、ぜひご検討いただきたいと思います」(中屋敷氏)。
成熟化が進む一方で、技術革新によるさらなる成長のステージも見えつつあるのが、現在の携帯電話市場です。新しい販売管理システムの導入で、NECモバイリングは、こうした市場動向にも柔軟に対応できる可能性を手に入れたと言えるでしょう。同社が培ってきた販売力、技術力、保守・サポート力は、新システムによって、よりストレートな形で発揮されることになります。
新販売管理システムの業務関連図
システム担当より

NECソフト株式会社
流通・サービスソリューション事業部
第二サービスSI グループ
プロジェクトマネージャー
小林 紀仁
NECモバイリング様の新しい販売管理システム構築のお手伝いをさせていただく中で、実際に利用される店舗スタッフの皆様の声を、システムに反映することの重要性と難しさを実感しました。販売管理システムのような毎日利用されるシステムでは、細かい操作性や機能にまで細心の注意を払って設計・開発する必要があります。これからも、ユーザーの視点に立って、システムの使いやすさや効率化を追求していきたいと考えています。
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