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腰原愛正 市長

公共施設を結ぶ地域イントラネットによる市民サービスの向上

長野県の北西部に位置する大町市は、雄大な北アルプスの玄関口「山岳観光都市」として知られています。四季を通じて豊かな大自然に恵まれた市の総面積は全国屈指の広さです。2001年3月、広大な同市に点在する小中学校、公民館、体育館、病院など38ヵ所を光ファイバーで結ぶ大町市地域イントラネットが稼働を開始しました。その拠点となって運用を統率するのが大町市総合情報センターです。公共施設予約システムをはじめとするイントラネットを活用した数々のアプリケーションの運用によって、市民サービスの一層の向上が期待されています。

プロフィール

大町市役所

長野県大町市大町3887/人口約30,000人

38ヵ所を光ファイバーで結んで広域発信

 いま各地方自治体は、政府が掲げるe-Japan重点計画による行政情報化の施策提言にともない、電子自治体の実現に向けてインフラ整備などを急ピッチで進めています。人口約30,000人の大町市は、いち早く1999年に情報化計画を策定し、電子自治体の先鞭を切りました。

 2001年3月には広大な地域の38カ所の公共施設を光ファイバーで結んだイントラネットを構築し、公共施設予約システムなどのアプリケーションを一部稼働させています。2002年度は、地域情報化の重点計画を分野ごとに策定して10月に公表し、イントラネットの本格的活用が進もうとしています。

 「幸いにも地域イントラネット基盤整備事業を早い時期に実行することができました。市民にその内容を早く理解していただき、どう活用を広げていくかがこれからのテーマです。行政の情報化による市民サービスの向上はいうまでもありませんが、市民の全家庭が高速ネットで結ばれることが最終目標です。当市を含む7つの市町村で北アルプス広域連合を結成しており、周辺市町村と連携して電子自治体の体制を整えていく考えです」と腰原愛正市長は情報化への意欲を語っています。

 高速・大容量の光ファイバーの活用では、まず観光自治体としての独自な情報発信に特徴があります。以前は観光ビデオを他県に持ち込んで紹介していましたが、現在では美しい大自然の四季折々の風景などをVOD(ビデオ・オン・デマンド)で流し、ライブカメラで北アルプスのパノラマ画像を配信して、山岳観光都市ならではの魅力をアピールしているのです。

 大町市は、日本で最も古いといわれる夏期大学を木崎湖畔で毎年開催しています。2002年8月にはその講座を撮影した映像を近くの公民館に無線配信し、そこからイントラネットを通じて松本や塩尻、山梨などにもライブ配信しました。

 光ファイバーは松本市の情報センターとも接続され、そこからは信州大学医学部と回線が繋がっています。その回線を通じて、遠隔医療の画像をやり取りする実験も一部スタートしています。

 大町市地域イントラネットを軸として提携関係が広がり、様々な活用が始まっています。また他の地域にはないコンテンツによる広域発信が実現されているのです。

総合情報センターを拠点として

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和田泰典 総合情報センター
所長(右)と牛越秀仁 職員

 大町市地域イントラネットを運用し、情報発信の拠点となっているのが市役所に隣接する総合情報センターです。パソコン教室やマルチメディア体験室、マルチメディア工房、テレワーク室、テレビ会議室、ソフトウェアライブラリーなどの施設を保有し、市民の情報リテラシーを向上させる役割も担っています。

 「2001年3月の開設から約1年半で20,000人の利用がありました。高速インターネットを無料で利用できることもあり、市民の関心の高さがうかがわれます。高齢者の利用も多い一方で、高校生にはデジタル編集の設備の人気が高いようです。SOHOの方にはテレワーク室を利用していただいていますが、ビジネス活用の方法はこれから検討していきます」と和田泰典総合情報センター所長。

 イントラネットを活用するシステムは、行政の情報化のほかに観光・地域振興、福祉・医療、学校活動、教育情報、地域防災など多岐にわたっています。これまでのシステムを光ファイバーで活用する場合もあれば、光ファイバーを使って新しいシステムを開発する場合もあり、それぞれの分野でのアプリケーション運用に期待がもたれています。

 「イントラネットの場合は、あくまで閉ざされた形で安全に運用することが基本です。光ファイバーの上で市の財務会計システムを動かしていますし、住民基本台帳を使った行政事務の業務も行っています。市民は、本庁舎に来なくとも出先機関で住民票や印鑑証明書の交付を受けられます。また介護支援センターなど各福祉施設も光ファイバーで結ばれ、介護システムが運用されています。地域が広域にわたるだけに、専用回線のイメージで稼働するインフラは著しい効果が期待できます」と牛越秀仁総合情報センター職員。

市民に親しみやすい公共施設予約システムへ

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大町市総合情報センター

 地域イントラネットを利用した行政情報システムで市民に最も親しまれている1つが公共施設予約システムです。公民館や体育館、運動場などの予約を、市民グループがインターネットから直接行えるものです。24時間どこからでも使いたい公共施設の予約状況の確認が行え、その場で予約できるので、市民にとって実に便利です。

インターネット利用の前までは、各施設で人手を介して紙の管理台帳で予約を受け付けていました。NECソフトでは、これをそのままわかりやすいインターフェイスでシステム化し、市民が簡単に予約の確認、申し込みができるようにしたのです。予約を行うには、最初に団体登録をしてもらい、IDとパスワードを発行する仕組みになっています。空き状況については、IDとパスワードがなくても確認することができます。

 予約の管理で面倒なのが、施設ごとに異なる時間貸しです。このシステムではコマ(時間の区切り)の概念を採用し、最大32コマまで設定でき、施設ごとに利用時間やコマの設定が違っても管理が可能です。大町市では今後、NECソフトが構築した抽選処理や料金計算、帳票出力のオプションも活用する方向です。

 「インターネット予約の仕組みはできたのですが、各種の施設を1つのシステムでまかなおうとすると管理する側の運用面で無理が生じてしまいます。運用はあくまで市民にとって平等でなければなりません。また利用する市民にも、システムに対してよく認識してもらうことが必要です。運用と操作の利便性との折り合いについて研究している段階です」(牛越職員)活力ある地域社会をめざすには、情報インフラの整備は不可欠です。しかし、あくまで市民の視点からメリットを実感できる電子自治体が構築される必要があります。大町市の新たな挑戦が始まっています。

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