
情報システム部
専任次長
松野 力 氏
NACCSとの通関連携システム『NEO-AI』を開発・活用することで、増大する貨物量を迅速に処理し顧客サービスを向上
グローバル化の進展によって、輸出は前年比11%、輸入は約20%増となり、国際貨物の総量も増加している。航空輸入通関件数も年間5%前後伸びており、一層の通関業務効率化が求められる。日本企業を支えトランス・パシフィック・リーダーを目指す総合物流企業・近鉄エクスプレスは、増大する国際航空貨物に対応するために、NECソフトの業務ノウハウを活用した通関連携システムを開発。通関連携システムの稼働によって NACCS専用端末が不要になり、処理コストの低減や作業量の大幅削減などによって迅速な通関手続が可能になり、顧客サービスの向上を実現した。
- プロフィール
-
株式会社近鉄エクスプレス
総合物流業者として、海外では32カ国・170都市・259拠点に40法人10駐在員事務所、4,949名(2006年3月31日現在)のグループ社員が活動している。「21世紀KWEグランドデザイン」に基づいて、フォワーディング事業(航空・海上)、ロジスティクス事業などを強化し、お客さまとのパートナーシップを通して新たな価値と最良の環境を創造し、グローバル社会の発展に貢献する企業であり続けることを目指している。
- 本 社: 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビルヂング5F
- 原木ターミナル:千葉県市川原木2526-41
- 創 業:1948年5月
- 資本金: 72億1,600万円
国際航空貨物を軸にトランス・パシフィック・リーダーを目指す
国際航空貨物、国際海上貨物、ロジスティクス、国内貨物を扱う総合物流企業の近鉄エクスプレス(KWE)が活躍する物流業界では、グローバルな合従連衡が繰り返され、売上規模1兆円を超えるメガグループが出現しています。これらのメガグループとの競争に打ち勝つために、KWEは「21世紀KWEグランドデザイン」に基づいて10年後の売上規模5,000億円を実現し、環太平洋を中心とした成長を通じて「Trans-Pacific Leader」を目指しています。
その中核を担うのが、利用航空運送事業です。複数の荷主から集荷した貨物を海外のあて先ごとに「KWEとして一つの貨物」にまとめ、航空会社に輸送を委託。KWEは航空機搭載までの書類の手配や輸出通関および地上輸送を担い、その一連の手続を行います。
その基盤となるのが、世界5極経営体制とグローバルネットワークを支える情報システム。発地から着地まで常に把握できる一貫輸送体制です。
「航空貨物は重量ベースでは海上貨物の0.3%に過ぎませんが、金額では30%を占め、オペレーションや税関手続件数では70%にも上ります。日本からの主な輸出航空貨物品目は、コンピューター、半導体等のIT・エレクトロニクス関連および携帯電話等、移動体通信に代表される通信関連製品やその部品、および自動車関連品など、エレクトロニクス関連貨物が当社の強みです。また地域では、1970年頃は50%がアメリカへの貨物、現在は50%以上が東南アジアになり、アメリカ、ヨーロッパへの貨物は30%以下になりました」と、情報システム部松野力専任次長は航空貨物の特徴について話します。
業務ノウハウを有するNECソフトに通関パッケージ開発を依頼
最近の日本の景気回復に応じて、輸出は前年より11%増の約68兆3,000億円、輸入は約20%増の約60兆4,000億(財務省平成17年度分貿易統計)を反映し、国際貨物の総量も増加しています。航空輸入通関件数では、2003年約300万件、2004年約320万件、2005年約330万件(航空貨物運送協議会調べ)と着実に増加しており、通関業務の効率化が求められています。
その業務を担っているのが、1978年8月にスタートした通関情報処理システム(NACCS:Nippon Automated Cargo Clearance System)です。NACCSは、税関および関連民間業界を電算機とオンラインで結び、システムを通じて税関への申告、申請、届出等の諸手続、税関からの許可、承認、受理,通知を行います。NACCSは、いわば国際物流企業の「命運」を握るシステムといっても過言ではありません。
その後NACCSは、1985年に輸出入統合Air-NACCSへ、2001年には「e-Japan重点計画2002」の「NACCSと貿易関連手続の電子化に係る民間システムとの連携等を推進する」方針に基づいて、民間システムとのデータ連携を実現した更改Air-NACCSが稼動し、増大する航空貨物に対応しています。また1991年には、海上貨物に係る輸出入通関業務等の税関手続をオンラインで処理するSea-NACCSも稼働しています。
「KWEは当初からIT投資に積極的に取り組んできました。現在、基本となるグローバルシステムは米国ダラスにあり、一貫輸送を支える標準システムとなっています。グローバルシステムとは別に、日本では税関手続の合理化のため、2001年のNACCS民間開放に合わせて、当社の通関システムをリニューアルしました。システム開発に際しては、同業他社とも相談しながら通関連携パッケージソフト『NEO-AI』を共同開発し、1社あたりのコスト負担の軽減を狙いました。ただし、業務アウトプットは仕事のやり方につながりますので、各社で考え方が違います。そこで、システムのコア部分のみを共同開発し、それ以外は各社が自由にカスタマイズでき、周辺のサービス機能は各社で独自開発することにしたのです。開発には、当社のシステムに当初から関わっている実績と、業務ノウハウをもっているNECソフトにお願いしました」(松野専任次長)。
リアルタイム、インタラクティブに操作ができるシステムを開発
規制緩和により、民間企業システムはNACCSと直接接続が可能となりました。これによって各企業は、自社システムおよび配下のパソコン端末から通関業務を行えるわけです。
「既存の輸入・輸出の社内システムとNACCSセンターを接続するNEO-AIを活用したインターフェースを開発。既存の業務データを利用して NACCSとのキャッチボールを行えるようにしました。その際、リアルタイム、インタラクティブに操作ができることを目指したのですが、その理由は税関窓口が17時で終了するので、ぎりぎりまで多くの手続を行えるようスピードを優先したのです」と輸入担当の情報システム部 佐藤 尚課長は語ります。
またシステム開発時については、次のように振り返ります。「NACCSから戻ってくる各種帳票について、NEO-AIのコア機能にあるプリンター出力配信処理を各社の要求通りに取りまとめるのに苦労しました。また、タイムラグを抑制し、いかにリアルタイムに処理できるようにするかも苦労しました。検索スピードによって業務効率が左右されますので、少しでも早くしなければなりません」(佐藤課長)。
さらに、「当時から東南アジアの活用が増え始め、通関処理のリードタイムを短縮することが課題でした。荷物をどんどん出すためには、前工程のデータとのマッピングが必要になりますが、インターフェースとしてNEO-AIを使うことで業務データを利用して税関に申告するようにしました。また、東京や大阪の税関では若干手続が違うため工夫が必要でした」と、輸出を担当している情報システム部 寺谷久夫課長は続けます。
日本の国際物流を支えているNACCSシステムには次のような特徴があります。
- 各種法令手続をシステムで処理できる:輸出入申告や貨物の出し入れの記帳などの税関手続や、それらに対応する税関からの許可などを処理できる
- 自動審査により迅速に処理できる:システムで自動的に審査区分を識別することにより、ほとんどの場合、貨物の申告から許可に至る審査を数秒程度で迅速に処理できる
- 貨物処理状況をリアルタイムで把握できる:照会をかけることにより、貨物の到着の有無、蔵置場所、税関手続の進行状況などをリアルタイムで把握できる
- 開庁時申告ができる:税関の閉庁後(夜間など)であっても、申告内容がシステムに登録されていれば、翌日の開庁と同時にシステムに申告がかけられる(開庁時申告)
- 搬入時申告や予備申告等が行える:NACCS輪出システムにおいては、あらかじめシステムに輸出申告内容を登録しておくことにより、貨物搬入と同時に、自動的にシステムが申告を行うことができる(搬入時申告)。また、輸入については、到着即時申告等の機能を備えているほか、正式な申告の前に税関が予備的に審査を行う「予備審査」も利用できる

NEO-AIでは、これらを一層効率的に処理するため社内システムとの連携を実現し、担当者が自席のPC上から直接操作することで、一刻も早く貨物を届けたい顧客のニーズに応えることができます。
毎年10%以上の処理件数増大にも人員を増加することなく対応
通関システムの稼働によって80台あったNACCS専用端末が不要になり、作業量が大幅に削減したほか、情報の二重入力防止や作業漏れ防止、誤申告防止につながりました。また、NACCSセンターの利用料金はトランザクションごとに発生しますが、NEO-AIは処理をまとめることおよび情報を社内システムに取り込むことで無駄なトランザクションの発生を抑制し、利用コスト削減につながるなど、大きなメリットが得られたといいます。
「システム導入に合わせて業務の見直しを行いましたが、実際にものを見ないとわかりません。新システム導入に際して帳票出力は研修した程度で、稼動して半年くらいで定着しました。今ではなくてはならないシステムになり、投資効果の面でも評価されています。また、24時間365日システムを使っていますが、今までもトラブルはほとんどありません。すべての社内端末でNACCSを使えるようになりました。それによって、誰でも前工程の情報を活用できるようになり、業務オペレーションが減りミスも減少しました」(佐藤課長)。
「現在、輸出入の通関件数は月9~10万件と、毎年10%以上は伸びていますが、それを処理する人員は現状のままで対応できています。これも通関システムのおかげだと思います」(寺谷課長)。
現在では、通関システムは全社的に2,800台のPCから利用でき、KWEのグローバルビジネスを支える不可欠のシステムとして定着しています。それだけに今後のシステム増強など、NECソフトに対する期待も大きいものがあるようです。
「今後は申告データをどう活用するのか、セキュリティ、テロ対策などのシステム対応が課題です。また、NECソフトには今後ともNACCSシステムの変更への対応サポートしていただきたい」(寺谷課長)。
「便利になりすぎたため、システムがダウンしたときのリスク管理が課題であり、また海上貨物の通関手続を合理化することも今後の課題です。NECソフトは我々の無理難題もよく聞いてくれ助かっています」(佐藤課長)。
「2008年にSea-NACCS、2009年にはAir-NACCSが変わります。来年には仕様が固まるはずですので、その動向を見極めて今後の対応を決めるつもりですが、NECソフトを頼りにしています」(松野専任次長)。
現在、Air-NACCSは10空港(成田、関西、新千歳、仙台、羽田、名古屋、小松、広島、岡山、福岡)とこれらの空港を含む 37の地区・地域が対象となっており(2005年1月現在)、増大する通関手続を効率的に処理しています。ますますグローバル化する企業の国際物流をサポートするKWEの通関システムは、今後もあくなき進化が期待されます。

株式会社近鉄エクスプレス
システム担当より

NECソフト株式会社
流通・サービスソリューション事業部
第一ロジスティクスグループ
リーダー
竹田 仁
「通関パッケージシステムの開発には企画の段階から参加させていただきました。お客さまから厳しいだめ出しなどもありましたが、何とか納得していただいたときには嬉しかった。そのときの対応によって、お客さまが何を考えているのかを自分自身でも考えるようになったことが、今に役立っていると思います」
- ※本ページに記載されている情報は掲載時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。
- 1ページ目









