
柳沢清仁
事務部部長任と
営業部員
印鑑照合支援システムの導入で顧客満足度向上と事務効率化を達成
金利の自由化、規制緩和と金融機関を取り巻く状況はめまぐるしく変化し、他業態をも巻き込んだ競争は日に日に激しくなっています。また一方で、不良債権問題の長期化による預金者の金融機関に対する不安も強くなり、新しい業務の創造を含め預金者に安心感を与えることが現在の金融機関の大きなテーマとなっています。
1928年、栃木県ではじめて中小商工業者を対象とした金融機関として設立された栃木信用金庫は、印鑑偽造トラブルを防止する「印鑑照合支援システム」の導入を手始めに、ネットワークを主体としたシステム化で地域発展に貢献しようと意欲的な取組みをしています。
- プロフィール
-
栃木信用金庫
- 本店/栃木県栃木市万町9-28
- 設立/1928(昭和3)年
- 事業内容/金融業(預金、各種ローン、為替ほか)
- 支店/県下に25支店
システムの導入により、作業時間が3分の1に短縮

上野俊一 事務部 副部長
印鑑照合とは、信用金庫や銀行などの金融機関で払戻用紙などを窓口に出したときに、職員が通帳に押された印鑑と払戻用紙の印鑑が、同じものかどうか交互に見ながら確認する作業です。簡単そうでスキルを要するこの確認作業を、パソコンなどでサポートするのが「印鑑照合支援システム」です。
「最近、栃木県内でもいくつか印鑑偽造による預金の不正払出し事件が発生してきています。お客様に安心感を持ってお取引をしてもらうためにも、導入が必要と考えました」と語るのは、事務部の上野俊一副部長です。印鑑偽造によるトラブルを防ぐというのがもちろん主目的ですが、印鑑照合支援システムによって、
- 照合作業時間を短くし事務の効率化が図れる
- 印鑑票の収納ボックスを営業室内から撤去できる
- 印鑑登録用として使うスキャナーを他業務でも有効利用できる
- 本店/支店を結ぶネットワークを構築できる
といったことも導入を促進する要素になったようです。
導入に際しては各社のシステムを検討した結果、最終的にNECソフトの「印鑑照合システム」に決定しました。「NECソフトを選んだ理由は、3つあります。まず、伝票そのものをスキャニングし、データ化できること。次に印鑑だけでなく、署名も照会できること。そして、スキャナーの汎用性が高いことでした」(上野副部長)
2002年8月に導入を決定、その後2ヵ月間で25万に上る印鑑票をデータ化(登録)、さらにやはり2ヵ月を費やしてのテストの後、2003年3月はじめから県内25の全支店で運用を開始しました。
「おかげさまで、いまのところトラブルは一件も起きていません。職員たちのオペレーションスキルも短期間で予想以上に向上しました。ベテランの職員でも数分かかっていた照合作業がいまでは10秒程度、署名を含めた最終確認でも1分ほどで済ませられるようになりました。ただ、当金庫では、この照合システムはあくまで職員による確認を支援するための補助システムと位置付けており、そのため名称を『とちしん印鑑照合支援システム』としました」(上野副部長)
印鑑照合支援システムはネットワーク化の第一ステップ

登録画面
照合支援機能
システムの運用開始以後、当然のように新たな印鑑登録が発生します(100~200件/日程度)。この作業を同金庫では各支店で行わせるのではなく、一括して本店(本部)に集め、登録作業を集中して行っており、登録印鑑の質を均一化しています。
各店が受け入れた印鑑をその日のうちに、本部のサーバーに納め、高速光通信網を通して25支店55の端末に照合のために配信されるようになっています。
「今回このシステムを導入するに当たって初めて金庫独自のネットワークを敷いたわけですが、印鑑照合支援システムはあくまでネットワーク上に載るアプリケーションの一つで、これを先駆けとして金庫内のLAN・WAN環境を充実していきたいと考えています」(上野副部長)
実際、同金庫ではNECのグループウェア「Star Office(スターオフィス)」を導入しての本格的な業務全体のネットワーク化を第2弾として2003年6月から開始しています。
栃木県下の他の銀行、信用金庫に先駆けて導入された印鑑照合支援システムは、同金庫に照合作業の効率化、異なった支店間での照合作業の確立、同一システムでの署名の確認といった実際的な効果をもたらしました。と同時に、LAN・WANによる業務の効率化を視野に入れた上での実験的な意味合いもあったといえます。
手の届くところから手がけたシステム化から統合化されたシステムが見えてくる
ネットワークを通じた業務の効率化はもちろん重要な命題ですが、それと同時に、このシステムのために導入したスキャナーを有効に活用することも短期的にはテーマのひとつとなっています。
汎用性の高いスキャナーの導入は大きな可能性をもたらしているようです。例えば、スキャナーをイメージOCRの入力端末として利用することなどもそのひとつです。為替振込の用紙をそのままスキャナーで読み込み、本部でそのデータを集中発信することによって事務の効率化を図れるからです。
また、スキャナーで新規口座開設時の本人確認書類等を読込み、電子化して保存したり、スキャナーが表裏コピーできるため、手形・小切手の通過証明のためのマシンとするなど、さまざまな利用手段が考えられています。
「お客様に安心感を与える印鑑照合支援システムの導入は、金庫独自のネットワークを構築するきっかけとなったほか、職員の意識の中にネットワークを活用した業務の見直し方法について『改善』ではなく『改革』でという動きを芽生えさせることになりました。今後は業務アプリケーションや電子メールなどが、統合化されたシステムとして機能する全体の仕組み作りがテーマとなります」(上野副部長)
まずは手の届く範囲、目に見えるところから手がけていく。そしてその際に将来的な方向性をしっかりと見据え、手を打っていく。そうした地に足の着いたシステムづくりが同金庫の印鑑照合支援システムの事例には感じられます。
- ※本ページに記載されている情報は掲載時におけるものであり、閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。
- 1ページ目









