
写真:左より
総務課・宇津木優明 主査/
業務課・山崎明 主査/
業務課・岡本義徳 主任/
建設課・新井邦男 課長/
建設課・新井正美 主幹/
建設課・大沢嘉史 主任
GISの導入が育てた“デジタルな視点で”業務を見据える目
GIS(Geographical Information System)やGPS(Global Positioning System)など、地図データと各種統計データとを統合し、デジタル活用したツールはすでに当たり前の存在になってきています。身近なものとしては携帯電話やインターネットを利用した位置検索サービスやカーナビなどがすぐに思い浮かびます。企業においても地図データと人口分布、商店配置などを組み合わせての商圏分析や新規顧客開拓のためのエリアマーケティングのツールとして利用されています。同様に、われわれの生活を陰で支えるライフラインの現場においてもGISの活用は着実に進行しているようです。
- プロフィール
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坂戸、鶴ヶ島下水道組合
- 庁舎/埼玉県坂戸市千代田1-1-16
- 設立/1968年
- 職員数/49名
- 関連施設/北坂戸水処理センター、石井水処理センター
行政のインフラ整備・管理で普及進むGIS
埼玉県中部、川越市に隣接する坂戸市と鶴ヶ島市は都心まで電車で1時間弱という首都圏のベッドタウンであり、県西地域の中核都市として成長を続けています。人口は両市合わせて約16万人。その重要なライフラインである下水道を預かるのが「坂戸、鶴ヶ島下水道組合」です。
自治体の下水道管理はここ数年、都市部を中心にGISを活用したデジタル化が進展しています。2つの市、しかも年々人口の増える地域を担当する同組合でも2001年に地図データと融合させた下水道台帳のデジタル化に着手、翌2002年9月に公共下水道台帳管理システム(以下、下水道管理システム)として稼動しています。
「実際的な下水道台帳管理の効率化は当然ですが、業務全体をデジタル化する“デジタルな視点で”見る目を持つことができるようになった点が何よりも重要ではないでしょうか」と語るのは同組合・建設課の新井正美主幹。それまでアナログの形で進められていた業務がひとつのシステムの導入によって業務全体の質を 変えていく好機となった、これがこのシステムのポイントになるようです。
顧客サービスの質の向上と保安管理業務の効率化

下水道台帳図検索システムの
検索作業
もちろん、システムの導入によって下水道管理業務自体が大きく変わりました。「窓口にタッチパネル式のディスプレイを置き、施工業者や不動産関係の業者が下水道の敷設状況を見たい場合、画面操作だけですぐに確かめられるようになりました」と業務課・岡本義徳主任は語ります。
それまでは両市をブロックごとに区切った重い紙の台帳と照らし合わせながら行っていた作業が、システムの導入後は画面操作だけで簡単に行えるようになりました。「確認の時間がはるかに短くなりました。今では慣れた人になるとわれわれに声をかけることもなく、自分で確認して帰っていくほどです」(岡本主任)。下水道管理システムの導入は、職員の手間を軽くしたと同時に、顧客サービスの質の向上に大きく貢献しているようです。
現在、下水道管で最も広く使われているのが長さ4メートルの塩化ビニール製のもの。これをつなぎ合わせて敷設していきます。同組合がすでに整備を完了している区域(約1070ha)にも数万本という膨大な下水道管が敷設されています。通常1本の管の寿命は4、50年といわれていますが、何かのきっかけで破損するということもあり、その補修記録などをデータとして残しておくことは、同組合の業務の基本にかかわることでもあります。
これもいままでは台帳同様、紙ベースの記録として保管されており、補修記録などを確認する際は台帳と見比べながらの作業でした。「システムの導入後は、画面でブロックを指定し、目的の箇所の管をクリックするだけで補修の記録などが画面に現れますので、作業の効率は飛躍的に上がりました」(岡本主任)
トータルなシステム化への最初の一歩

下水道管理システムの管理画面
下水道管理システムは現在、同組合庁舎に設置されたサーバーを中心に、建設、業務、管理という3つの課のパソコンと窓口のタッチパネル端末との間でネットワークが組まれ、さらに坂戸市内にある水処理センター1ヶ所とLANで結ばれています。「システムの導入に際しては、LANを組むのにあたりグループウェアを導入してファイルの共有などを図ることをNECソフトと双方にて検討し、それが組合庁舎内や水処理センターと結んだメールや掲示板システムとして生かされています」と総務課・宇津木優明主査。
これが冒頭で新井主幹が語った「業務を“デジタルな視点で”見る目」の正体のようです。ひとつのシステムの導入が単に業務処理を効率化させただけでなく、ファイルの共有やコミュニケーションの円滑化へとつながっていった。その意味で同組合の下水道管理システムは、トータルなシステム化への最初の一歩でもあったわけです。
下水道管理システムによって、業務のデジタル化・システム化は日常の業務の中にしっかり根を張りつつあります。と同時に、これをさらに広げていこうという考えも強く、下水道管敷設の設計支援システムとしての利用を手始めに、さまざまな発展形が模索されています。
「下水道の使用料金システムとの連動、水処理センターの各種データの統合など、課題はいろいろあります。また、これはしばらく時間がかかるとは思いますが、他の行政施設への情報提供なども行えたら、などとも考えています」(宇津木主査) 同組合のシステム化はまだスタートを切ったばかりです。しかし、スタートダッシュはかなりよかったのではないでしょうか。何よりもシステム化のためのシステム化ではなく、業務に密着し、何をするのかがはっきり見えていたシステム導入であったことが第一歩を最善のものにしています。それが結果として、業務全体をシステム化していく芽を同組合の中に作り出していったように感じられます。
システムを担当して

NECソフト北関東支社官公SI部
葛西陽介
ここ2、3年道路・水道などの社会のインフラ部分でGISを利用することへの関心が急激に高まっています。ようやく個別業務への対応など、システムの具体的な提案ができるようになり、坂戸、鶴ヶ島下水道組合様にもご理解をいただき、ある程度満足していただけるシステムを提供できたのではないかと思っています。
今後は、個別の業務システムに対する提案はもとより、よりトータルな形で貢献できるようトータル・ソリューションの視点に立った提案をさせていただきたいと考えています。
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