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東急百貨店様

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石原啓之
情報システム部

現実に即した形で足下から一歩一歩築き上げてきたギフト物流システム

日々多くの商品が行き交う百貨店。特にお歳暮やお中元の頃ともなると1日で数万件もの注文があり、それに伴い大量の商品が移動することもあります。その意味でギフト商戦時期は百貨店の物流の縮図ともいえます。1年のうちの3ヶ月程しかないこの期間のために、各社とも多くの時間とコストをかけてシステムを展開し、激しい競争に勝ち抜こうとしています。東急百貨店では10年以上前からギフト物流のシステム化に着手し、2003年6月に新たにシステムを構築し直しました。

プロフィール

株式会社東急百貨店
鷺沼物流センター

  • 所在地/神奈川県川崎市宮前区小台1-18-1
  • 設立/1983年(ギフト物流センターとしては2002年から)
  • 社員数/80名(パート・アルバイト含む)
  • 業務内容/荷扱・在庫管理および配送・問合せ。

物流のアウトソーシング化が加速する百貨店業界

 小売業全体にいえることですが、各社・各店舗の売上げは社会状況を反映し非常に厳しい状況にあります。そのため、さまざまな業務やそれに伴うコストは一層の効率化や削減を求められています。物流分野でも事情は変わらず、その結果、各社ともこの部分をアウトソーシングしていく傾向が強くなっています。東急百貨店も現在、ヤマト運輸とグループ会社である東急ロジスティックの2社に物流部分を業務委託しています。

 アウトソーシングした場合、いちばん問題となるのは受発注に伴う効率的なコミュニケーションと商品の出し入れ。そしてこれらの業務をつないでいく基本にあるのは“伝票”です。

 「それまでお歳暮・お中元の時期には、注文を受けてから商品を配送するまで1週間から10日もかかっていました。作業に時間がかかるのは、伝票だけですべてを処理していたためです。伝票はあくまで荷受とお客様からの受領印をもらう用紙にし、必要な情報はデータの形で流す。これによって配送時間を短くしようと考えたのが、1992年に最初にシステムを構築した際の目的でした」と情報システム部システム運営の石原啓之(ひろゆき)エキスパートスタッフ。

 その後2000年には8ヶ所にある店舗の機器のリプレースに伴い、ギフト物流システムのバージョンアップにも着手、2003年6月、8ヶ月の構築期間を経てシステムを稼動させています。

伝票の整理と仕組みづくりで効率化を促進

 今回のバージョンアップの主眼は、伝票発行のさらなる効率化にありました。1992年からのシステム化で伝票情報のデータ化には成功したものの、伝票そのものは従来どおりの複写伝票、しかもドットプリンタでの出力のため時間がかかっていました。そこで、伝票をシール式にし、プリンタもページプリンタに変更、しかもA4用紙に3つの伝票を同時に出力する方式にすることにより、出力時間を大幅に短縮することに成功しています。現在では、1日7万件にも達することのあるお歳暮・お中元時期の最も忙しいときでも、4時間ですべての伝票を出力できるといいます。

 「システムの変更によりプリンタの台数も25台から13台と少なくなりました。この13台を当社での一般配送用と大口取引先(食料品の取引先をはじめとする外部配送委託先)に配分し、それぞれの伝票をこちらで出力し、それを送付して配送業務を行っています」(石原エキスパートスタッフ)

 しかし、大口取引先に対してはプリンタを各社に配置して現場で出力するようにすればより効率的なはずです。「この部分は今後の課題です。確かにプリンタをそれぞれ置いていただき処理した方が早いのですが、取引先それぞれの事情などにより難しいのです。それにプリンタを設置して処理するコストより、こちらで出力して送付するコストの方が現状安いという状況もあります」(石原エキスパートスタッフ)

 確かに東急百貨店から見て1対1の関係でも、配送業者では他社との取引もあり、1対多の関係になります。そのため、1社を対象としたシステム構築に時間とコストをかけられないという事情がまずあります。また、百貨店側もあくまで自社固有の伝票にこだわるため、なかなか統一したフォーマットが作れないことも影響しています。この辺りにこの業界の物流システムが抱える問題の根があるようです。

 「もちろん、この業界でも共配は大きなテーマで、それに向けた動きもありますが、今のところ総論賛成各論反対といったところで、なかなか足並みが揃いません。私としてはわれわれ百貨店側が主導していくのではなく、大手の配送業者さんが音頭をとってくれた方がこの部分はうまくいくのではないかと思っています」(石原エキスパートスタッフ)

将来的には店頭の集客ツールとしてのシステムと一体に

 ギフト物流システムが稼動するのは年間100日程度と非常に短期間であり、後は休眠した状態にあります。そのため、東急百貨店ではギフト以外にも慶弔にともなう贈り物などをこのシステムを使って処理する機能をすでに現システムの中に組み入れています。
 社員を対象とした生活用品の販売や一部地域店のシーズン拡販商品の販売など、年間利用はいろいろ考えられます。

 「百貨店は、最終的にはお客様に店頭へ足を運んでいただくことが基本です。ですから、集客のひとつのツールとしてシステムを利用するのが理想です。NECソフトとは1992年以来の長いお付き合いで、伝票のシール化など、これまでさまざまな提案をしていただいています。これからも理想のシステムを作るため、われわれ内部の人間が気づかない部分に目を向け続けながら協力していただきたい」(石原エキスパートスタッフ)

 石原エキスパートスタッフの言葉にあるように、アナログで処理する方がすべてをシステムで処理するより早く、かつ安いという現状が厳然としてあります。今後、物流を支えるシステムを構築する側に求められるのは、すべてをデジタルなシステムで処理しようという考え方をひとまず置き、何が有効で何が有効でないか、また何が可能で何が可能でないかをはっきり見定め、そこからはっきりとしたシステム化の道筋を探す。そうした視点なのではないでしょうか。

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