
塩谷薫
環境清掃事業部
清掃リサイクル課 係長
粗大ごみ事業の徹底した効率化と区民の満足度を追求した受付センター
東京都品川区では、行政サービス強化の一環として、粗大ごみ事業のシステム化に取り組んでいます。都民の満足度がいまひとつであった従来の粗大ごみ事業において、区独自の受付センターを設置し、粗大ごみ業務システムを導入したのです。それにより、申し込み受付業務の大幅なスリム化、さらに現場における情報共有化を実現することで、区民の利便性と満足度を大幅に向上させています。
- プロフィール
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品川区
- 本庁/東京都品川区広町2-1-36
- 区勢/東に東京湾を擁し東京の表玄関に位置し、江戸の昔から交易の拠点となり我が国文化と産業の発祥地として知られる。人口約32万4000人。
世田谷区・目黒区とシステム共有による受付業務
粗大ごみを含む清掃事業はもともと東京都が行ってきましたが、2000年4月、23区が発足して以来悲願としてきた都区制度改革が実現し、都から各区に移管されました。東京都の傘下に置かれる立場から解放され、独立した自治体としての自治権が拡充され、それにともない清掃事業についても区が行うようになったのです。
従来の粗大ごみ事業に対して、区民の満足度はいまひとつでした。午前8時から午後5時までの受付時間は電話がつながりにくく、清掃事務所に苦情の電話が飛び込むことも珍しくありませんでした。また、「出したごみが収集されていない」「収集場所にごみが出されていない」「出されているごみの数が違う」といった行き違いも頻発していました。今回運営を開始した受付センターは、こうした問題点の解消を目指して設立されました。
「清掃事業が各区に移管された後も受付センターは23区共同によるものでしたが、品川区、世田谷区、目黒区の3区は、各区で受付センターを設置し、 2002年4月から業務を開始しました。3区の受付センターが実現したのは、区独自の受付センターの設置を品川区が検討していた過程で世田谷、目黒両区から打診があり、最終的に3区がシステムを共有するという形になりました」と、環境清掃事業部清掃リサイクル課の塩谷薫係長は経緯を説明します。
申込み受付所要時間を従来の半分以下へ
受付センターでは、受付システムサーバーを設置し、区役所内の清掃リサイクル課、清掃事務所2カ所をサーバーの一元化によって統括管理しています。区民から電話を受けたオペレーターが、目の前のディスプレイに申し込みの内容を入力しながら対応します。すでに受付実績がある場合は、申込者の氏名や住所などのデータ履歴が記録されており、申込者の情報画面が自動表示されます。データ履歴がない場合でも、マウスの操作のみで住所などが入力でき、新しく携帯電話番号の登録もできるようにしました。
申し込み受付時の作業を大幅にスリム化したことで、1件当たりの所要時間が従来の半分以下の3分程度へと大幅に短縮され、その結果、申し込み電話が格段につながりやすくなりました。従来は旧受付センターと清掃事務所との情報伝達を1日2回FAXで行ってきましたが、新システムの導入後は情報をリアルタイムで完全に共有しています。
「内部のコミュニケーションの強化を実現したことで、区民に対するレスポンスが大幅に改善されました。たとえば、清掃事務所宛てに粗大ごみの処理を依頼した区民からの問い合わせが入った場合も、登録データを呼び出してその場で回答することが可能となりました」(塩谷係長)
さらには、受付センターの担当者も同じ知識を持ちながら、区民からの電話を受けることができるようになりました。オペレーターの人たちはほとんどが品川区民で、地元のために業務を行うという使命感を持って業務に当たっています。 品川区では、従来から区民に対するサービスに力を入れてきた経緯があり、小中一貫教育構想を打ち出し、中学校と特別養護老人ホームを同一敷地内に設置するなど、新たな試みを相次いで打ち出してきました。粗大ごみ業務システムも、品川区の積極的な試みの1つとして導入されたものです。
システムを導入したことで、従来は3日前で締め切っていた申込み受付は最短前日でも可能となりました。従来の電話に加え、FAXやインターネットなど新しい申し込み方法を採用しており、いつでも申し込みができます。現在は電話の申し込みが圧倒的に多い状況ですが、今後のインターネット環境の拡大を考えると、区民の利便性を先取りしたものといえます。
収集現場で発生するさまざまな課題をクリア

武田博雅 環境清掃事業部
清掃リサイクル課 主任主事
粗大ごみ業務システムの構築に際しては、ごみ収集の現場で発生するさまざまな課題をクリアすることが条件となりました。粗大ごみの料金は重さがベースになっていますが、実際に収集車に載せる際には大きさがポイントになり、容積を測る処方を取り入れています。
区民の立場からすると、電話がつながり、頼んだ粗大ごみをきちんと収集されて当然です。しかし、この当たり前のことを実現することが、なかなか簡単ではありません。そのためシステム構築のサポートに当たって、NECソフトでは粗大ごみ収集の現場をデジタルカメラで撮影し、ごみの量を実際に確認するためのリサーチを行いました。
「現場を見ないと分からないという考えから、実際に清掃車に乗ってごみ収集に当たり、作業着を着て担当地区を1件ずつ訪問しました。現場とシステム設計者の情報のフィードバックを繰り返したことで、ほぼ100%の出来栄えになりました」と、品川区のシステム開発を担当した武田博雅主任主事は語っています。
もっとも、清掃事業のシステム化はまだまだ緒についたばかりといえます。「粗大ごみは清掃事業の一部分。事業全体の総合システムを構築したい」(武田主任主事)と考えているからです。清掃事業は奥が深く、集積管理は現場の職員の方たちの勘に頼ってきた部分が少なくありませんが、その分効率化の余地はたくさんあります。
品川区をはじめとする3区では、清掃事業関連の合同定例会を主催し、クレームなどの事例に基づいた情報交換を行っています。粗大ごみ処理ひとつをとっても、世帯数の違いや清掃工場の立地条件などの相違から、現実的には23区内でスタンスには温度差があるのが実情です。その中で、品川区では全国各地の自治体の清掃事務所から受付センターの視察が相次いでおり、その取り組みは全国へ広がっていくことになってきそうです。

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