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中野透
JA京都中央会
電算対策室次長

大規模合併のJAを支える経営総合管理システム「Compass-JA」の運用

「農」と「共生」の世紀づくりを基本目標として、JAグループは将来にわたって安定した運営のできる体制を確立するために経営・事業の改革に取り組んでいます。その中で市町村・地域段階のJAなどを会員として指導事業を行っているのが、各都道府県段階のJA中央会です。JA京都中央会(京都府農業協同組合中央会)は広域合併が進められてできあがった京都府内の9つの総合JAおよび府域の3つの連合会を中心に構成され、経営の安定化を実現するために全国で導入が進められている「Compass-JA」の運用支援を、JA京都電算センターとともに行っています。同システムは、経営総合管理システムとして合併によるJAの大規模化を支え、経営管理や財務の安定化などJA経営の再構築に貢献しているのです。

プロフィール

JA京都中央会

  • 電算対策室/京都府伏見区中島北ノ口町6(株)京都府農協電算センター内
  • 概要/京都府の9つの総合JAおよび府域の3つの連合会を中心に構成される指導機関

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ERPパッケージ「R/3」を利用したシステム

matsukawa
松川 喜和
JA京都電算センター
開発部開発
第2グループ課長

 Compass-JAは、JAグループにおける共通共用システムとして1991年に構想されました。全国のJAの資金と人材が投入され、全国農業協同組合中央会が1993年からシステム開発に取り組んで完成したものです。羅針盤を意味するCompassには、高度な経営管理のための共通基盤(COMmon Platform for Advanced management SystemS)という意味が込められています。

 同システムは、SAP社の世界標準のERPパッケージ「R/3」を基盤に、JA向けにカスタマイズして構築されています。そのため、業務・経営改革の実現や法改正への準拠、システムの安定稼働・高度化、コストの削減、ECへの備えといったR/3のメリットをそのまま特徴として備えています。その役割は、合併にふさわしい高度な経営管理の実現、全国統一信用事業システム「JASTEM」との連動、共同開発によるコスト削減、物流統合化、EC対応への準備などにあります。

 JAの事業は、農作物の販売や農業生産に必要な物資の購買を合わせた経済事業、貯金の受け入れや資金の貸し付けを行う信用事業、生命保険や損害保険の役割を果たす共済事業を主な柱としています。JASTEMは、信用事業システムを全国統一化しようと構築が進められ、2004年度に導入が予定されています。Compass -JAは、このJASTEMと連動させて会計システムに取り込むために、インターフェイスを取って円滑な移行を図る役割も担っているのです。

 現在、全国 47都道府県で、それぞれのJA中央会が指導してCompass-JAの導入が進められています。その中でJA京都中央会では、12月と3月の各JAの決算期に合わせ、2002年1月と4月に9つのJAで財務会計、管理会計、固定資産、出資金の各システムを本稼働させています。

3年かけてカスタマイズで対応

 JA京都中央会では、信用事業システムのJASTEMシステムへの移行にともなう日計システムをはじめとする経営管理システムの連動確保、大型 JAの人事管理の高度化などを目的として、Compass-JAの導入に取り組みました。人事給与システムを含めると3年間の長期にわたって移行切り替えを実施してきて、2002年4月にようやく実を結びました。

 各JAは、企業と同様に組織や事業運営方法、管理形態、給与体系などことごとく異なっているため、Compass-JAを標準システムとしてそのまま共通して適用できるわけではありません。そこで各JAの要望をヒアリングして、それぞれの顧客を分析し、システムのギャップを埋めるために必要となるカスタマイズやアドオン(機能追加)を行っていったのです。

 システムの導入は、JA京都中央会電算対策室の指導の下にJA京都電算センターが担当し、NECソフトが支援して行いました。1999年に、まず人事給与システムの5つのJAへの先行導入から開始しました。2000年からは財務会計、管理会計、固定資産、出資金のシステムの導入作業に取り組み、全9つの JAの本稼働までに約2年をかけました。時間をかけることでシステムに対する理解を深めると同時に、京都独自のカスタマイズの徹底化に力を注ぐことにしたのです。

 Compass-JAはR/3を利用しているため、プログラム・ソースに手を入れずにパラメーター設定でカスタマイズを行えることから、プロトタイプのシステムを構築して使用できる状態とし、各JAに説明を行いました。そこで改めてニーズを探っていったところ、新たに帳票を作ってほしいなど次々と要望が出てきたのです。経営管理の帳票類はJAごとに異なり、アドオンとして追加対応していきました。

 従来のシステムとの整合、勘定系システムとの連動、事務の流れとの擦り合わせなどを整理するとともに、想定していない異例な取引の発生など、細かなところで的確な判断が必要となりました。

 京都にある9つのJAには大規模もあれば小規模もあり、資金量や支店数などでも大きな差があります。勘定科目も細かなところで異なるため、中科目まで統一し、小科目は自由に設定できるようにしました。また人事給与や会計、固定資産の従来システムとの連携を取るために移行ツールの開発などを行いました。

JA経営の羅針盤としての活用

 Compass-JAは、事業システムのデータを経営管理情報として統合し、リアルタイムに経営管理データを見ることができ、問題点の発見に役立ちます。JA本店の管理部門では、支店の残高明細表などの情報を画面で確認し、すぐ計画と実績を対比できるようになっています。また、組織が変更になっても、過去のデータを現在の組織の形で分析することが可能です。

 もちろん各JAで現場の環境は異なるため、活用状況に差があるのは当然です。今後は寄せられる様々な要望に十分に応え、業務変革につなげていくことが課題です。また、今後はシステムの安定稼働、JAでの活用能力向上のため、活用改善方策の検討などフォローと定着化にJAと一体的に取り組むことが予定されています。

 Compass-JAは、新しい信用事業システムJASTEMなど縦の基幹事業システムとの統合化を実現することにより、経営情報をもとにした迅速で適切な意思決定を支援するものです。21世紀のJA経営の羅針盤になるものと期待されています。

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